業界研究

マニアック!! 工作機械検定ってなんだ!?

世の中には様々な検定があります。本記事で紹介するのは数ある検定の中でも飛び切りマニアックな検定『工作機械検定』です。

そもそも工作機械って・・・なんだ??

という人でも問題なし!是非とも受験してみてください。検定とはいうものの、無料かつWeb 上でサクッと受験できるお遊び感覚の検定です。きっと良い話のネタにはなるはずですよ。本記事では、工作機械検定の紹介と合わせて工作機械設計者である私が独断と偏見で作成したオリジナルの工作機械検定問題もあります。是非、チャレンジしてみてください。それでは、いきましょう!!

工作機械検定とは

工作機械検定の概要に関しては公式 HP に下記の記載あります。

「工作機械検定(MT 検定)」は、一般社団法人日本工作機械工業会が主催する検定試験で、機械をはじめ製造業界に従事する方だけでなく、幅広く一般の方々に、工作機械とはどんな機械かを知って頂き、工作機械業界の認知度の向上を目指し、実施するものです。

引用:工作機械検定HP 工作機械検定とは・・・

この検定は技術力や知識の向上を目的とするものではなく、工作機械の認知度向上を目的とした検定です。つまり、工作機械を知らない人向けに作られた工作機械の検定なのです。上記のリンクから今すぐに受験することができます。

検定の難易度は1級、2級、3級の3つがあります。3級は、工作機械を知らない人向けの簡単な問題です。2級以上は工作機械業界の関係者向けのマニアックな問題が多く割と難易度が高いです。まずはお試しで3級を受験してみると良いでしょう。

工作機械検定の歴史は浅く、記念すべき第1回は 2018 年に開催されました。今年、2023年で第6回を迎えます。検定の開催期間としては毎年 11 月頃に一カ月間だけ開催されています。今年の開催期間は、2023 年 10月 10 日~ 11 月 17 日です。MECT2023と開催が重なっているので、工作機械熱が上がっている!?MECT開催期間に受けた方がいいかも?

MECT2023に関しては、気になる方は下記の記事をチェックしてね。

今年からなんと、合格者には抽選で景品が贈呈されるらしいです。

画像引用:工作機械検定HP

是非、1級を目指して日刊工業新聞社『機械技術』1年分をゲットしてください。宣伝挟みますが本誌では、私の連載『しぶちょーの、こんなんどーYo?』やインタビュー記事『独自技術で光る日本の機械加工現場』が掲載されてますので要チェックですよ!!

もし期間が過ぎて工作機械検定が受験できなかったとしても、過去問が公開されていますのでご心配なく。下記のリンクから検定の雰囲気を楽しめますよ。過去問を解いて来年に備えましょう!

●2級過去問

●1級過去問

せっかくなので、私なりに工作機械検定っぽいオリジナル問題を作ってみました。お時間がある方は、是非ともチャレンジしてみてください。なんと上級編もありますよ(笑)

オリジナル問題にチャレンジ!!

初級編

第1問
工作機械は、日本産業規格(JIS)の中で「主として金属の工作物を , 切削 , 研削などによって , 又は電気 , その他のエネルギーを利用して不要な部分を取り除き , 所要の形状に作り上げる機械」と定義されている。工作機械が行う"不要な部分を取り除く加工"のことを何というか。

A. 付加加工
B. 除去加工
C. 塑性加工

答えと解説

第2問
最新の工作機械を発表したり、実機を前にして商談をする場として定期的に世界各地で『工作機械見本市』が開催されている。次のうち、日本で行われる工作機械見本市はどれか。

A. JIMTOF
B. EMO
C. IMTS

答えと解説
答え 【A】 JIMTOFは、Japan International Machine TOol Fairの略で日本最大の工作機械見本市です。ちなみにEMOはヨーロッパの見本市、IMTSはアメリカの見本市です。この他、中国の見本市CIMTも有名です。この4つを合わせて世界四大見本市と呼んだりもします。 日本では、JIMTOFの他にもMECTという見本市もあります。先月開催され、会場、ネット上ともに非常に盛り上がりました。 関連記事

第3問
「工作機械がどれだけ売れたか」という金額(工作機械の総受注額)は、工作機械業界内のみならず他分野の人が注目する重要な指標となっている。それはなぜか。

A. 工作機械の売り上げが国力を表す指標になるから
B. 今後の景気動向の予測に使うことができるから
C. 売り上げが好調だと、工作機械の値引き交渉が有利になるから

答えと解説
答え 【B】 工作機械の総受注額は、"景気の先行指標"とも呼ばれています。設備投資の判断は、それぞれの企業の経営者が景気の動向や先行きを見極めて行うため、工作機械の受注額にはそういった経営者の考えや思惑が如実に現れます。逆に言えば、景気の影響を非常に受けやすい業界でもあり、浮き沈みが激しい業界としても有名です。 関連記事

中級編

第4問
工作機械の構造体には鋳物が用いられるのが一般的である。しかし欧州では、花崗岩と樹脂を用いて工作機械等の構造体を作り出す技術がある。これは何という技術か?

A. ミネラルキャスティング
B. ミネラルカッティング
C. ケミカルキャスティング

答えと解説
答え 【A】 花崗岩とエポキシ樹脂を混ぜ合わせた材料をミネラルキャスト、または人工グラナイトと呼びます。国内の工作機械メーカーでは採用例は少ないですが、欧州では約3割の機械でミネラルキャスティングが使われていると言われています。鋳物に比べて、省エネルギーで生産できることからカーボンニュートラルの観点からも再注目されている材料です。 関連記事

第5問
研削加工を行う際に、使用する工具が”砥石”である。砥石の構造は、3 要素、5 因子から成り立っている。次のうち、正しい組み合わせはどれか。

A. 3要素(と粒、結合剤、粒度) 5因子(と粒の種類、組織、気孔、結合剤の種類、)
B. 3要素(と粒、 組織 、気孔) 5因子(と粒の種類、結合剤、粒度、結合剤の種類、結合度)
C. 3要素(と粒、結合剤、気孔) 5因子(と粒の種類、組織、粒度、結合剤の種類、結合度)

第6問
下図は切削工具の摩耗形態を表す図である。工具の寿命管理の指標として用いられる摩耗はどれか。

A. クレータ摩耗
B. 逃げ面摩耗
C. 境界摩耗

答えと解説

上級編

第7問
フライス盤に自動工具交換機能を追加した機械をマシニングセンタと呼ぶ。世界初のマシニングセンタは、アメリカのカーネイ&トレッカー社によって開発され、1960 年の工作機械見本市に出展され大きな話題となった。この世界初のマシニングセンタの名前は何か?

A. ミルウォーキーマチック
B. ミルオートマチック
C. オートツールマスター

答えと解説
答え 【A】 かなりマニアックな問題です。世界初のマシニングセンタはカーネイ&トレッカー(Kerny & Trecker)社のミルウォーキーマチックです。この機械の登場以降、各社がマシニングセンタを製作するようになりました。ちなみにカーネイ&トレッカー社は既に倒産してしまい、今はもうありません。 関連記事

第8問
工作機械は、貿易上は『大量破壊兵器等の開発に用いられるおそれの強い貨物』に分類されるため国外への出荷に対しては厳しい規制がある。その中でも機械のスペックに関わらず、「危険な相手」に機械を輸出しないための法規制を何と言うか。

A. リスト規制
B. キャッチオール規制
C. エクスポート規制

答えと解説
答え 【B】 貨物そのものに対する規制がリスト規制、輸出相手に関する規制がキャッチオール規制です。工作機械は、大量破壊兵器を作るために用いることもできてしまうため、厳しい輸出規定があります。これに違反すると、とんでもないことになります。代表的な事件のリンクを下記に貼っておきます。 関連リンク

第9問
工作機械の複合化が進み、近年では金属3D積層技術アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing:AM)を搭載した機械も出てきた。工作機械に搭載されるAM方式として主流なものはどれか。

A. メタルデボジッション方式
B. パウダーベット方式
C. バインダージェット方式

答えと解説
答え【A】 メタルデボジッション方式は、金属粉末をノズルで供給しレーザで溶融させて積層する方式で、工作機械の構造と相性が良いため、主流な方式として用いられる。パウダーベッド方式は、金属粉末を敷き詰めたベッドにレーザを照射して積層する方式で、3D積層専用機に用いられることが多い。バインダージェット方式は、敷き詰めた金属粉末を樹脂で固める方式で、積層時間が短いのが特徴。パウダーベッド方式と同じく、3D積層専用機に用いられることが多い。   関連記事

まとめ

本記事の内容を復習しましょう。

・工作機械検定は工作機械の認知度を高めるために行われている
・毎年、10月頃に1ヵ月間開催されている
・Web 上でサクッと無料で受験ができる

私はブログや Twitter の情報発信で工作機械の多くの人に知ってもらうための取り組みも行っているので、この検定のコンセプトは非常に共感が出来ます。この検定をキッカケとして工作機械に興味を持ってくれる人が増えると、非常にうれしいです!!

その他、機械設計系の資格や検定に関しては下記の記事にまとめていますのでお時間あれば合わせてお読みください。

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