業界研究

【解説】JIMTOF2022はココを見ろ!!

いよいよ始まります、JIMTOF2022!!

2年に1度のお楽しみ、日本最大級の工作機械の見本市です。工作機械界隈はお祭り騒ぎです。そんなビッグイベントJIMTOF2022の見どころを、工作機械業界に勤めて10年、JIMTOF参加は6回目の私が独断と偏見で解説します。工作機械を知らない人でも理解できるように、できるだけ噛み砕いて説明していきます。最後まで読んでいただければ嬉しいです。そしてJIMTOF2022を心ゆくまで一緒に楽しみましょうぞ!!

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JIMTOFとは

そもそもJIMTOFを知らない人のために、その概要と歴史を簡単に紹介します。JIMTOFはJapan International Machine TOol Fairの略で、日本語で言えば"日本工作機械見本市"です。東京モーターショーの工作機械版だと思ってもらえれば、わかりやすいかもしれませんね。

JIMTOFは1962年に初めて開催されました。基本的には2年毎に東京ビッグサイトで行われており、今年で第31回目を迎えます。工作機械メーカはもちろんのこと、工具メーカ、周辺機器メーカ、要素部品メーカなどの様々な会社が集まって、最新の機械や技術を展示して商談を行います。

普段、日の目を見ることのない縁の下の力持ち達がその技術や魅力を表立ってアピールすることができるチャンスがJIMTOFです。新技術、その見せ方に至るまで、どのメーカもとことん拘って展示を作り込み、しのぎを削りあいます。そんな熱い見本市なんです!!

前回のJIMTOF2020は、コロナ感染症の影響もありweb開催のみとなりました。つまり、リアルで開催されるのは実に4年ぶりです。工作機械メーカを始め、業界関係者はこれでもかというほど気合が入っています。そんな激熱イベント、JIMTOF2022の見どころを解説していきます・・・が、まずはウォーミングアップとして工作機械業界の3つのトレンドを勉強しておきましょう。ここを事前に押さえておくだけで、見学の際の各社のブースの見え方が変わるはずです。

工作機械業界の3つのトレンド

工作機械業界の大きなトレンドは、自動化、デジタル化、カーボンニュートラルの3つです。

自動化

人件費の高騰に伴い、少ないオペレータ(工作機械を使う人)でなるべく多くの機械を動かしたいというニーズが高まっています。そのため無人で長時間の生産活動ができる機械が求めまれています。「機械なんて放っておけばずっと自動で動いているんじゃないの?」と思うかもしれませんが、長時間の自動化には色々と課題があります。

・正しく部品が作られているか
・工具は破損していないか
・機内の切り屑の掃除はできているか  etc・・・

など、機械を無人で長時間動かすためには実に様々な工夫が必要です。機械単体の性能だけではなく、生産システム全体の能力が求められます。これを提案するのもメーカの勤めです。特に最近では、多軸ロボットアームを活用した自動化提案が流行りで、各社がこぞって開発を進めていますね。

デジタル化

これは工作機械業界に限らず、ものづくり業界全体に言えることですが、デジタル化やIoT化、AI活用の流れは大きいです。各社、手探りの状態ですが新たな価値を生み出そうと力を入れています。

その中でも注目度が高いのが“デジタルツイン“ですね。デジタルツイン は、バーチャル空間上に現実空間を再現して、その中でシミュレーションや事前検証を行うという技術です。検証したデータは、現実空間にフィードバックされます。

バーチャル空間上に機械一台まるまる再現して、実際にモノを削らなくてもどのような加工結果になるか事前検証したり、加工現場の工作機械の仮想モデルをデジタル空間上に再現して、オフィスPC上で“デジタル段取り“を行ったり・・・SFの世界さながらの取り組みがなされています。

とはいっても、デジタル分野に関しては、業界全体として発展途上ではあります。それゆえに各社の競争が激しく、昨今のトレンドの中でも最も熱い分野です。

カーボンニュートラル

持続可能な開発目標SDGs が提唱され、工作機械業界にもその考え方が求められるようになってきました。

SDGs の取り組みの中でも特に、エネルギーや気候変動に対する取り組みであるカーボンニュートラルへの対応が強く求めています。カーボンニュートラルは、カーボンの排出量を下げ、更に吸収量を増やし、プラスマイナスで排出をゼロにしようという取り組みです。工作機械としては、カーボンの排出量を下げるために省エネ化に取り組むという流れが主流です。

日本全体の電力消費の内、約4割が製造業が消費する電力だというデータがあります。更にその内の約7割が工場内で消費する電力です。そのうち、工作機械が何割の消費を占めるのかはわかりませんが、少なくないのは間違い無いでしょう。

省エネは、直接生産性に関わらないため、今まで蔑ろにされてきた分野でしたが、国の政策も相まって、無視できなくなってきました。工作機械の環境評価に関するJISの整備も進められ、今後もますます省エネ要求は厳しくなっていくことが予想されます。

JIMTOF2022はココを見ろ!!

さて、前置きが長くなりましたが、ここからは私の独断と偏見で気になったものをピックアップして解説していきます。JIMTOFには工作機械メーカの他にも、機械要素、周辺機器、工具などの様々なメーカが出展していますが、今回は工作機械メーカに絞って解説していきます!それでは、いきましょう。

ヤマザキマザック(E5001)

言わずと知れた、大手工作機械メーカ。世界一の工作機械メーカとの呼び声も高いヤマザキマザックです。毎回ド派手で大きい展示ブースでお馴染みですが、今回は特にデカい。全ブースの中でヤマザキマザックのブースが最も大きいです。JIMTOFに掛ける気合を感じますね!

●ココを見ろ!!

『デジタル段取り』

画像引用:ヤマザキマザック JIMTOF2022特設ページ

マザックのJIMTOF出展テーマは、カーボンニュートラルに向けたマザックのデジタル製造ソリューションです。カーボンニュートラル実現のための手段としてデジタル化を位置付けているようですね。展示の中で注目すべきは『デジタル段取り』

デジタル段取りでは、デジタルツイン技術を活用し、バーチャル空間上に現実と同じ状態の仮想工作機械を構築、オフィスにいながら効率的で正確な段取り作業が可能となる・・・とのこと。このデジタル段取りについては、以前からも提唱しているようです。今回のJIMTOFではこのデジタル技術をもってカーボンニュートラルの実現へ挑むということでしょう。どういうソリューションが提示されるのか、楽しみです。

またマザックブースでは豪華ゲストを迎えた特別講演をほぼ毎日行うようです。これは凄いぞ・・・JIMTOFの盛り上げ隊長って感じでいいですね!!

DMG森精機(E8017)

言わずと知れた世界最大手の工作機械メーカです。毎回、マザックとブースの大きさ争いをしていますが、例年よりも今回はちょっと控えめのブースサイズですね。その代わりに、JIMTOF会場からDMG森精機の東京グローバルヘッドクオータまでシャトルバスを走らせ、新機種発表やラボの紹介、食事会などのイベントをそちらで取り行うとのこと。自社までJIMTOF会場としてしまうとは・・・恐るべし!!

●ココを見ろ!!

『AIチップリムーバル』

画像引用:DMG森精機 JIMTOF2022特設ページ

AIを用いて切粉の堆積状況を分析し、効率的に切粉が除去できるようにクーラントノズルをコントロールするシステムです。この機能自体は3年ほど前に発表されたのですが、コロナ感染症で様々な展示会中止などの影響もあり、実機に搭載された状態での展示があまり出ていません。YOUTUBEでは見れるんですが、実機・・・見たいですよね。どのような形で展示されるのかはわかりませんが、要注目です。その実力や如何に!!

オークマ(E6037)

マザック、DMG森精機に並ぶに国内工作機械メーカの一つです。大手の中では最も歴史の長い老舗の工作機械メーカです。なんでも自分たちで内製してしまう超技術集団で、その技術を活かした機電情知一体の設計を得意としています。

●ココを見ろ!!

『OPS-P500』

画像引用:オークマ JIMTOF特設ページ

オークマが10年ぶりにNC装置を一新。外観デザインやユーザーインターフェースを大幅にリニューアルした新NC『OPS-P500』。もちろんデザインやUIが変わっただけではなく、デジタルツインを始めとしたさまざまなデジタル機能が追加されている様子。まだ公になっている情報は少ないですが、JIMTOFで一気にアピールしてくるかもしれませんね。新NCがそのベールを脱ぐのか・・・楽しみです。

牧野フライス製作所(E2014)

東京に本社を置く大手工作機械メーカの一つです。その名の通り、フライス盤から始まった会社で現在はマシニングセンタを主に開発しています。航空機業界や金型業界に強いイメージがありますね。

●ココを見ろ!!

『a900Z』

画像引用:牧野フライス製作所 JIMTOF2022特設ページ

新機種としてJIMTOFでお披露目される5軸制御横型マシニングセンタ『a900Z』。牧野フライスが2年前に提唱し始めた新コンセプト「e・MACHINE」に沿った新製品です。e・MACHINEは機械のアップデートや拡張性に重きをおいたコンセプトで、購入後も機械が柔軟に変化・進化できるようにすることで不確実性が高まる今の時代でも顧客に新しい価値を提供し続ける・・・というもの。このコンセプトを初めて見たときは、非常に斬新だと感動しました。e・MACHINEコンセプトの発表時は本当にコンセプトのみで、具体的な提案は特にありませんでした。今回のJIMTOFでいよいよ、e・MACHINEコンセプトの機械の実機がお披露目になるわけですから、期待が高まりますね。

あと、牧野フライス・マキノジェイのYOUTUBEのチャンネルに登録している人は、ブースで粗品が貰えるみたいですよ。貰えるものは貰っておきましょう、要チェック!!

中村留精密工業(E2026)

石川県にある工作機械メーカで、旋盤系の工作機械を製造しています。SNSや動画配信、ブログなどをメディアを積極的に活用しており、非常にフットワークの軽い印象です。

●ココを見ろ!!

『JX-200』

画像引用:中村留精密工業 JIMTOF2022特設ページ

旋盤ベースの複合加工機『JX-200』。この手の複合加工機のトレンドであるコンパクト主軸を取り入れ、広い加工エリアを確保する設計となっています。主軸って普通は長方形のイメージですが、もう正面から見たらほぼ正方形ですからね。小さいですよねー。主軸の名前も”NT Smart Cube”と、その形を表す名前となっています。あと機械のデザインも中村留らしさを残しつつも、かなり近未来的になりましたね。そして、正面窓の大きさが凄い。機械を正面から見たとき、チャック端までしっかり目視できる機械は初めて見ました。ユーザー目線で、かなり意識して拘って設計してますね。その辺り、他社の機械と見比べると凄さが分かるかも?

そしてSNSの中村留。イベント、色々やってみるみたいです、要チェック!!

松浦機械製作所(E3013)

工作機械メーカでありながら、時代に先駆けて3D金属積層技術も磨いてきた一風変わった会社です。最近、やっと時代が松浦機械に追い付きました。パレットチェンジを中心とした自動化が得意な会社で、その技術で頭一つ抜きんでています。

●ココを見ろ!!

『MAM72-42V PC32』

画像引用:松浦機械製作所 JIMTOF2022特設ページ

MAM72と言えば、松浦機械を代表するベストセラー機です。ツール規格を流用した特殊なパレットクランプ方式を採用しており、積み重ねるように大量のパレットを格納することで、1台の機械で多数のワークを取り扱うことを可能としています。機械一台の中で自動化が完結しているので、省スペースであるにも関わらず、高い生産性があるのだとか。そんなMAMシリーズの新機種とならば、チェックせざるを得ませんね!!

松浦機械でもステッカーの配布があります。貰いに行きましょう!!

日本電産マシンツール(E2033&E2034)

昨年、日本電産グループが三菱重工工作機械を買収し、誕生したのが日本電産マシンツール。その後は、老舗工作機械メーカーであるOKKの買収も行い、ものすごい勢いで勢力を拡大しています。今後の動向にも熱い注目が集まっています。

●ココを見ろ!!

『ブースそのもの!!』

日本電産マシンツールが新体制になってから、今回が初めての展示会です。正直、未知すぎて見どころがよくわかりません。強いて言えば、どのようなアピール・見せ方をしてくるか・・・つまり、ブースそのものが見どころだと言ってよいでしょう。どのような雰囲気のブースなのか、楽しみですね。

ソディック(E4021)

神奈川に本社を置く工作機械メーカーです。工作機械の他にも、射出正規機や3Dプリンタなど幅広く産業機械を開発しています。

●ココを見ろ!!

『HP300L』

画像引用:ソディックHP

XYZ軸の駆動にはリニアモータ、回転・傾斜軸にはダイレクトドライブモータを採用した非常に贅沢な同時5軸制御マシニングセンタです。ソディックが5軸マシニングセンタを導入するのは実に12年ぶりのことであり、話題になりました。最近は、工作機械業界でもリニア駆動は下火であまり使っている機械は見ませんね。ボールねじとは違った駆動音がするはずなので、その音を聞きに行くのも一興かも。機械オタクにはたまらない一品だと思いますよ。

サイダ・UMS(E2011)

この時代にあえての汎用旋盤を、汎用旋盤のまま進化させるという全く新しいアプローチを選んだ会社です。まさに古くて新しい工作機械です。

●ココを見ろ!!

『新普通旋盤 VERSEC-neo』

画像引用:サイダ・UMSHP

わざわざ私が紹介するまでもなく、知っている人も多いでしょう。いやはや、カッコイイの一言に尽きますね。この実機をみると、『JIMTOF来たなー』と思うくらい、毎回見てます。数年前はこの旋盤を使って、職人がひたすら旋削加工するという展示があり、あまりの渋さに驚愕したのを覚えています。いぶし銀の展示でしたね。今年はどんな見せ方をするのか、非常に楽しみです。

Hermle(愛知産業)(E6020)

愛知産業は愛知県に本社を構えるエンジニアリング商社です。工作機械メーカではありませんが、あえて紹介する理由はこの商社がドイツの老舗メーカ Hermle(ハームレ)社の工作機械が展示するからです。海外製の工作機械を見る機会はめった無いので、チェックしてみると良いでしょう。

●ココを見ろ!!

『Hermle C42』

画像引用:愛知産業HP

Hermle社の同時5軸制御マシニングセンタです。新機種というわけではなく、割と前からある機種ですが、特徴は構造体に人造石を使用しているということです。通常は鋳物で作られる工作機械のベースを、石で作っているということです。人工グラナイト、ミネラルキャスティングなどと呼ばれるもので、石と樹脂の混合材料です。どういった質感なのかを含め、実機を確認すると面白いと思います。ブースのサイズが小さかったので、もしかしたら実機展示無いかもしれませんが・・・、そこも行ってのお楽しみということで。

なお、ミネラルキャスティングに関しては下記の記事にまとめていますのでどういったのもなのか、興味がある人は是非とも読んでみてください。

AMエリアは見とけ!!

工作機械メーカーではないのですが、最後にエリアの紹介をします。

画像引用:JIMTOF2022

今年度のJIMTOFからAM(アディティブマニュファクチャリング)エリアが新設されました。AMとは、金属3D積層技術のことです。実際にエリアを見てみないことには雰囲気がわからないのですが、このエリアは全体的に期待大!!どんな展示があるのか、ワクワクしますね。

AMがどんな技術なのか、前もって理解しておくと見学がより有意義になると思います。お時間あれば、是非とも下記の記事も読んでみてくださいね。

まとめ

JIMTOF2022・・・楽しみですね!

ちなみに私が初めて行ったのはJIMTOF2010でした。そこで、今の会社に入ることを決めたのを昨日のことのように覚えています。JIMTOF2012では工作機械メーカの新入社員として見学し、JIMTOF2014で自分が開発に関わった機械がJIMTOFの舞台に立ちました。JIMTOFの回を重ねるごとに、自分が技術者として成長してくのがわかるので、JIMTOFは私にとって特別な場所で思い入れがあります。6回目であるJIMTOF2022で、自分自身がどのような成長を実感できるのか、それも楽しみにしています。

私は11/9(水)から参戦する予定です。そこから最終日までは、会場のどこかには居ます。TwitterDMなどで声を掛けていただければ、ご挨拶に伺いますので是非お声おかけください。(ブースの説明員も担当するので、動けない時もありますが・・・)

メカトロザウルスのシールを差し上げますよ!!

皆様と会場でお会いできるのを楽しみにしております。

工作機械業界のことを知ると、もっとJIMTOFが楽しくなるかも。お時間あれば、下記の記事も合わてお読みください。

工作機械検定もJIMTOFに合わせて開催されますので、開場待ちの時に受験してみましょう。webでパパっと受けれますよ。

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