JIMTOF2020 Online 工作機械設計者が徹底レポート!!

業界研究

いよいよ始まりましたね、JIMTOF2020!!

 

2年に1度の工作機械の見本市です。私は今年3月にブログを始めた時から、今年のJIMTOFは絶対にブログ記事でレポートしてやろうと心に決めていました。それだけ楽しみにしていたイベントです。まさかコロナの影響でオンライン開催になるとは思いませんでしたが・・・。というわけで、本記事では現役の工作機械設計者の視点からこのJIMTOF2020 Onlineをレポートしたいと思います!

 

工作機械を知らない人でも理解できるように、できるだけ噛み砕いて説明していきます。少し長いですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。そしてJIMTOF2020を心ゆくまで一緒に楽しみましょう!!

 

JIMTOF2020 第30回日本国際工作機械見本市

 

JIMTOFってなに?

そもそもJIMTOFを知らない人のために、その概要と歴史を簡単に紹介します。JIMTOFはJapan International Machine TOol Fairの略で、日本語で言えば日本工作機械見本市”です。東京モーターショーの工作機械版だと思ってもらえれば、わかりやすいかもしれません。

 

そもそも工作機械って何だ?という人は、まずこの記事を読んでみてくださいね。

 

すごいぞ!!日本の工作機械業界
工作機械業界は日本を代表する業界の一つです。一般認知度は低いですが、産業の基盤を支える非常に重要な業界なんです。本記事では、実際にこの業界で働いている私が業界の基礎や魅力について簡単に紹介していきます。ニッチな業界ですが、少しでも興味を持ってくれると嬉しいです。

 

JIMTOFは1962年に初めて開催されました。基本的には2年毎に東京ビッグサイトで行われており、今年で第30回目を迎えます。工作機械メーカはもちろんのこと、工具メーカ、周辺機器メーカ、要素部品メーカなどの様々な会社が集まって、最新の機械や技術を展示して商談を行います。

 

普段、日の目を見ることのない縁の下の力持ち達がその技術や魅力を表立ってアピールすることができるチャンスがJIMTOFです。新技術、その見せ方に至るまで、どのメーカもとことん拘って展示を作り込み、しのぎを削りあいます。そんな熱い見本市なんです!!

 

JIMTOFでは企業の展示だけでなく、大学教授や企業の役員による講演会やワークショップ、または学生向けの就職活動イベントなど目白押しです。私も2010年に行われたJIMTOFの学生向けイベント“工作機械トップセミナー”を受けて、この業界に入ることを決めた一人です。それ以来、毎回JIMTOFには参加していますので今回で5回目ですね。

 

1回目のJIMTOFで工作機械業界への就職を決め

2回目は工作機械メーカの新入社員として参加

3回目で自分が開発に携わった機械を初めて展示

 

遠くから機械の様子を伺っていたのが、良い思い出です。ちなみに今回のJIMTOFも私が開発に携わった機械が出展されていますよ、まあどの会社のどれとは言えないんですけども。そんなこんなで前置きが長くなりましたが、早速今年のJIMTOFをレポートしていきたいと思います!!

工作機械メーカ レポート

日本には実に多くの工作機械メーカがあります。今回はその中から私の独断と偏見で気になったものをピックアップして紹介していきます。文章の中には、私の設計者としての推察も入っていますので、しっかり知りたい方はメーカーに直接問い合わせてくださいね。

DMG森精機

世界最大の工作機械メーカと名高いDMG森精機。今回の展示内容で最も目を惹かれたのが”AIチップリムーバル”という新技術です。

AIチップリムーバル

 

簡単に言えば、加工で出たゴミ(切粉)が溜まっているところを自動で判別して、そこを洗浄するという機能です。工作機械の技術者であれば、誰でも一度はこの機能を考えるはずです。ただ、皆「あんなこといいな、できたらいいな」という程度でしか考えていませんでした。そんな皆の願いを未来の技術で叶えてくれたのがモリエモン?ことDMG森精機。画像認識で切粉の堆積を検知し、AIによって最適な洗浄経路を生成。駆動ノズルでクーラントを任意の軌跡で噴射して最適な洗浄を行います。

 

AIとか画像認識とかすごいけど、結局お掃除機能でしょ?

 

そうなんです。でもそれが重要なんです。工作機械業界はAIだのIoTだのデジタルあーだこーだなど、カッコつけていますけどね、結局のところ永遠の課題はこの切粉なんですよ。工作機械のトラブルの大半は切粉が原因で引き起こされます。切粉は家の埃とは違って、とにかく色々なところに引っかかって、積もっていきますからね。イメージとしては、服にくっつく雑草あるでしょ、あのチクチクした奴。あれくらい以上にしつこいものだと思ってくれればいいです。

 

積もった切粉は雪だるま方式に積み重なり、やがて機械の動作を止めるほど成長します。お客様も機械を故障させないように、また生産を止めないように切粉の掃除に多くの時間を費やします。AIチップリムーバルは、この問題にデジタル技術でメスを入れる画期的な技術です。

 

個人的にはこの技術は、もう一つ恩恵があると思っています。メーカー側が、切粉の体積パターンをデータとして入手できるということです。どこに切粉が積もりやすいのか、どういう加工条件だったのか、どういう材質なのか、どういう工具だったかetc・・全て機械からデータとして取り出せるわけです。そういったデータを分析すれば、次の機種の開発に活かせます。客先の状況をデータとして開発にフィードバックできる。これはかなりメリットがあると思います。

 

これはまさにデジタルトランスフォーメーション(DX)のエンジニアリングチェーンとサプライチェーンの連携です。難しい言葉を使いましたが、詳しく知りたい人は下記の記事を読んでください。

 

いまさら聞けない!?DX(デジタルトランスフォーメーション)ってなに?
デジタルトランスフォーメーション(DX)って知っていますか?ここ数年、インターネットや書籍などでこの言葉をよく目にするようになりました。もし知らないなら結構ヤバいかも?是非、本記事でDXの基礎を勉強しましょう。DXとは、2025年の崖、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、etc・・・

 

個人的には、このノズルがどうやって動いているのかも気になります。自社開発ではないでしょうから、どのかのメーカからの購入品だと思うのですがどこなんでしょうね。使いてえ(心の声)。モリエモンが4次元ポケットから出したのはまさに未来の道具、AIチップリムーバル。配布していたハーゲンダッツ1万個もその4次元ポケットから出したのかもしれませんね。

 

DMG森精機を詳しく知りたい方は下記の本がオススメです。ちょっと古いんだけどね。

牧野フライス製作所

東京の本社を置く大手工作機械メーカの一つ、牧野フライス製作所。JIMTOFの展示では毎回、機械を隅々まで見せることに拘ったシンプルなレイアウトが印象的です。あえて展示機種を絞って、会場を広く使っているように感じます。そのシンプルさはさながらAppleショップのよう。そんな牧野フライスですが、オンラインJIMTOFの展示では、動画どころかカタログすら貼らない徹底ぶり。流石にシンプルすぎる・・・。詳細を見たければ自社サイトまで飛んでこいってことですね。徹底していますね。

 

展示で目を惹かれたのは、e・MACHINEというコンセプトです。

e・MACHINE

 

 

動画内ではあまり具体的なことは語られていませんが、何やら新コンセプト機を考えている様子。動画内で登場する機械は、良い意味で牧野らしくない機械ですね。牧野の機械は、あまりデザインに凝った印象はなかったのですが、今後はその部分にもテコ入れをしていくようです。少し失礼ですが大型で曲面のオペレータドアは、かなりDMGっぽいですよね。機械下側に入っている青色のライン、これはかなりイケてます。私好みの近未来感!!こういうのって量産になったらしれっと削除されたりするので、ぜひとも残して欲しいところです。

 

動画内では、全駆動サーボ化という話が出ていますが、これは既に牧野フライスで取り組まれている技術ですね。普通ならエアシリンダで動かすようなドアまでサーボ化することで、機械を徹底的にコントロールできるようになります。エアシリンダでは全開、全閉しかできませんが、サーボ化することで中間で位置決めが可能です。ドアをその動作に必要な分しか開かないようにすることで、その分の動作時間を短縮できます。これはほんのコンマ数秒の話ですが、これも積み重なれば大きなコストダウンに繋がります。特に自動車関連のお客さんは顕著で、一つのワークの加工が0.1秒短くなれば、年間で何百万円というコストダウンになると言われます。このような徹底した速さの追求は、牧野らしさだと思いますね。

 

動画内では、機械のアップデートを仄めかしています。納入後も機械を進化させることができるようなプラットフォーム作り、これは考えたことありませんでした。パソコンがOSを更新するように、機械も更新されていくんですかね?進化する機械とは如何に?新しい工作機械の在り方を示せるか。非常に今後が楽しみなコンセプトですね。

 

ヤマザキマザック

世界一の工作機械メーカとして、この業界ではその名を知らぬ者はヤマザキマザック。その称号と比例するかのように、JIMTOFも毎回ド派手な演出で来場者を驚かせます。マザックのブースはとにかく派手ですね、F1やスポーツカーが飾ってあったり、とにかく光り輝いていて遠くから見てもどこにマザックのブースがあるかわかるくらいです。一昨年などは、サンダーバードとコラボしたブースが話題になりました。私は世代でないのでわからないのですが、サンダーバード世代のおじさま方には激アツのコラボだったんだとか。

 

そんなマザックのオンラインJIMTOFでの展示は・・そんなに派手じゃない・・。まあ、システム上しょうがないですよね。ただ、他の大手はイベント用の外部サイトを事前に準備しているのに対して、マザックは自社のHPに誘導するだけ。あまりJIMTOF Onlineには力を入れていないのかな?という印象でした。

 

展示で目を惹かれたのは、FJV-60/80 FSWです。

FJV-60/80 FSW: 門形マシニングセンタに摩擦攪拌接合技術を融合

 

門型マシニングセンタFJVをベースに、FSWの機能を追加した複合加工機。FSWとはFriction Stir Weldingの略で摩擦攪拌溶接という技術のことです。専用のツールを回転させ押し当てることで摩擦熱を発生させ、材料同士を攪拌して接合するという溶接です。他社が自動化やIoTを進める中、しっかりこういう複合加工機を展示してくるあたり、マザックらしさが伺えますね。流石は複合加工機のマザック。

 

マザックを詳しく知りたい方は下記の本がオススメです。昨年、創立100周年を迎えた記念で出版された本です。マザックの歴史がわかります。

オークマ

これまで紹介した大手の中では最も歴史の長い工作機械メーカである老舗のオークマ。技術への探求は凄まじく、とにかくなんでも内製してしまう技術オタク集団。まさに技術のオークマといった感じ、自動車メーカでいうとホンダっぽいかな。JIMTOFでの展示は、他社比べると可もなく不可もなくといった感じで至って普通。技術にしか興味ないんかい、と突っ込みたくなるような印象です。(大変失礼ですが、あくまで私の主観なのでお許しを・・・)

 

展示で目を惹かれたのは、ROIDシリーズ

フランジワーク量産加工の自動化(EMO2019)/インテリジェント複合加工機+ビルトインロボット MULTUS B250Ⅱ ARMROID【オークマ】

 

 

特にこのアームロイドという装置は、最初に見た時は度肝を抜かれましたね。機械内部にロボットアームを組み込む発想は、変態としか言いようがない。ロボットアームは機械の外という常識を覆した一台です。機械内部にアームを収めるのは至難の技、スペースは少ないし、あちらこちらに干渉物があります。その辺りは非常にうまく収めてあります。

 

アームが機内にあることで、アームを使ってワークの洗浄や保持などのサポートが可能になります。これは使いこなせばかなり便利そう!!なんでも自社で作るオークマだけあって、工作機械の操作パネルからロボットアームの操作ができるという徹底した連携。アームのティーチングも簡易的にできるようですね。機電一体を信条とするオークマらしい機械だと思います。今後、対応機種も増えていくでしょう。期待できますね。

安田工業株式会社

日本一精度の良い工作機械を作る安田工業。精度においてはこの会社の右に出るものはいません。しかし、私が驚いたのは工作機械ではなく3Dプリンタの方、Labonos LDR200という機械です。ってか、3Dプリンタ作ってたのか、それも金属積層ではなく樹脂の方とは・・意外です。

 

【追記】

よく見たら3Dプリンタじゃなくて、“樹脂用の加工機”でした。早とちり・・・。3Dプリンタのように3Dモデルだけで手軽に切削加工によるモデル作成ができるという機械。3Dプリンタよりも高精度・高品位な製品を出力することが可能。3Dプリントと切削加工のいいとこどりな機械ですね。精度の安田だからこそできる芸当かもしれません。

簡単×試作×切削 Labonos JIMTOF2020 Online

 

シチズンマシナリー

時計だけじゃないのよ、シチズン。あまり広く知られてないけど、工作機械もやっているです。展示で目を惹かれたのは、Cincom L32 X 残材削減機能です。 

Cincom L32

 

残材とはどうしても残ってしまう材料のことです。旋盤加工ではチャックで掴めなくなった長さの材料は残材として、捨てるしかありません。身近なもので例えるなら、シャーペンの芯とかですかね。微妙な長さになったらスルっと先端から出てきますよね。あれと同じイメージですね。非常に勿体無い。

 

そこで、その残材をまた材料として使用するために摩擦接合技術で新しい材料にくっつけてしまおうという機能が付いたのがこのシチズンの旋盤。残材に対するこのアプローチは、目の付け所が非常に面白いですね。

松浦機械製作所

松浦機械製作所は工作機械メーカでありながら、時代に先駆けて3D金属積層技術を磨いてきた会社です。俗にいう金属版の3Dプリンタ(アディティブマニュファクチャリング)ですね。時代を先取りしすぎて、開発当時は全く注目されていなかったらしいですが、やっと時代が追いついてきたんだとか。そんな松浦機械の金属積層技術は着々と進化を続けてるようです。今後も期待ですね。

松浦機械製作所 LUMEX Avance-25 JIMTOF2020

おそらく国内の工作機械メーカでは、3D金属積層技術において松浦の右に出るものはいないでしょう。他の工作機械メーカも3D金属積層機(がありますが、コア技術自体は他社から買っていますからね。ちゃんと自社でやっているのはここくらいじゃないのかな?と勝手に思っています。アディティブマニュファクチャリング(AM)について、詳しく知りたい方は下記記事を読んでみてね。

 

金属3Dプリント技術-AM(アディティブマニュファクチャリング)って一体何なの?
金属をプリントする3D積層技術AM(アディティブマニュファクチャリング : additive-manufacturing)について簡単に説明します。3Dプリンタの普及によって一脚光を浴びている技術の一つです。製造業に携わる人、またこれから足を踏み入れる人は知っておいて損のない内容です。

 

 

サイダ

みんな大好き、VERSEC-neo!! この時代にあえての汎用旋盤を、汎用旋盤のまま進化させるという全く新しいアプローチを選んだ株式会社サイダ。これは、古くて新しい工作機械です。前回のJIMTOFでは、アクリル板で囲まれた空間に職人が一人、そしてこの旋盤が置いてあり、ひたすらそこで加工しているという大変渋い展示でした。私も高校時代は毎日のように旋盤使っていたので、こういうの大好物です。所有欲をそそられますね、素晴らしい!!好き!!

The Making of the Manual Lathe VERSEC concept

 

要素部品メーカ レポート

機械を支える要素部品。そんな要素部品メーカから気になるものをピックアップして紹介します。

THK

THKは直動案内を得意とする要素部品メーカ。そんなTHKが発表したOMNIedgeというIoTシステムは、LMガイドの状態監視ができるというもの。ポイントは後付けが可能だというところでしょう。取り付けも簡単にできそうだし、非常に使い勝手は良さそうです。

【THK】予兆検知を実現するIoTサービス「OMNIedge」

LMガイドのレールから、運転時の振動を読み取って、異常があるかどうかを判断するシステムっぽいですね。普通、ベアリング系の診断だとFFTアナライザーという機器を使って周波数分析をするんですが、おそらくそこまでの機能は備わっていないと予想します。振動波形に変化があるか否かを判断して、変化だけを見るものでしょう。

 

この手のシステムをパッケージとして、LMガイドユーザに直接販売しているのが意外でした。LMガイドのIoT化に関しては、以前からいくつか話が上がっていましたが工作機械メーカ側は今ひとつ用途を決めきれずに右往左往してました。そこでTHK側が痺れを切らして、エンドユーザ向けにパッケージ化したのかな?この手のシステムをBtoC向けで販売するのは大きな変化だと思いました。こういうふうにシステムでパッケージ化すると、工作機械メーカ側は自社のNCとの連携が取れずに採用しにくいですからね。ここはTHK側が大きく舵を切った印象です。使いやすい、導入しやすいIoTは今後も流行るかもしれません。敷居を低くして、町工場のデジタルアレルギーを解消していくことができるか、期待ですね!

NTN

なんて滑らかで有名なNTN。私も好きです、多部未華子。そんなNTNからなんて滑らかなロボット手首関節モジュールi-WRIST”が登場。人でいう手首関節を持つことで、動きの自由度が増して、非常に効率よく動くことができるらしい。ただ、見た目からも動画からも動きがよくわからないのが残念。とりあえず、なんて滑らかなことがわかるロボットです。地球儀上の首都の位置決め時間って結構面白い発想だと思います、この見せ方はハイセンスですね。

 

手首関節モジュール i-WRIST 従来のロボットとの比較

 

その他

その他、気になるものを紹介していきます。

兼房

タイリング工具。

 

ディンプル加工用 タイリング工具| 新着情報 :: 兼房 ::
チップソー、ビット、ドリルなど‘刃物’であらゆる加工を可能にする切削工具メーカー“兼房 株式会社”

 

一言で言うなら、キサゲができる工具ですね。ディンプルと呼ばれる小さなくぼみを加工して、部品の摺動性をよくするというものです。疑似的にキサゲ加工のような油溜まりを作るということですね。大学との共同研究で開発されたんだとか。使いどころによっては重宝するのかな?

LUBE

LUBEは工作機械の潤滑剤や潤滑用のポンプなどを作るメーカです。そのLUBEからグリス交換時に、リサイクルできる容器RECOGを提案。

RECOG 2020.11.16

 

これは地味ながら大切なことだと思い、ピックアップしました。産業機械のグリスってジャバラカートリッジと呼ばれる芋虫みたいな容器に入ってるんですよね、そしてグリスが減るとその芋虫がぺちゃんこになります。すると、また新しい芋虫に付け替えるわけですが、そのぺちゃんこになった芋虫はリサイクル不可のゴミになります。ストローやポリ袋の削減がこれだけ騒がれている昨今、この取り組みは大切です。さよなら、芋虫くん。

ミツトヨ

Bluetoothで測定データを送れる測定データワイヤレス通信システム U-WAVE Bluetooth版。その他のメーカから、同じような用途のトルクレンチとかも出てますよね。近未来的で好みです。こういう機器を積極的に現場に取り入れることができると理想的ですね、検査表などのペーパレスにもつながります。

JIMTOF Online mitutoyo U-WAVE fit en

 

JIMTOF2020 Onlineの感想

JIMTOF2020 Onlineの良かった点、悪かった点を自分なりにまとめてみました。

良かった所 GOOD

疲れない

JIMTOFで東京ビッグサイトを歩き回ると、かなり疲弊します。歩数もさることながら、会場の独特の熱気もあいまって体力をがっつり削られます。さらには渡されるカタログ類の重いこと重いこと・・・。肩から血が出ますよ、マジで。その点、オンラインJIMTOFでは快適な場所からじっくり情報を得られるので良いですね。疲労感が全く違います。

カタログの入手性が格段に良い

カタログをパッとPDFで入手できるのは非常に良いですね。紙でもらっても後々の処理に困るんですよね、結局捨てますし。欲しいカタログがすぐにデータで手に入るのはオンラインならではの恩恵ですね。

講演をアーカイブで視聴することができる

オンラインJIMTOFでは、行われた講演をアーカイブで見ることができます。今まで、気になる講演があっても日程が合わなかったり、定員オーバーだったりで見れないことも多々ありました。こうやって、アーカイブを残してもらえると貴重な講演がいつでも見れるため、非常にありがたい。いつもこうして欲しいくらいですね。

 

悪かった所 Bad

実機が見えない

オンライン開催なので当たり前ですが、やはり実機が見れないというのはネックだと感じました。カタログや動画だけではわからない細かい部分、機械の雰囲気などは実際に見てみないとわからないですね。我々設計者は競合他社の機械を下から覗き込んだりして見ますからね(怒られない程度に)。そいうった点では、メーカが見せたい機械の良い部分しか見えず、カタログ以上の情報は手に入らなかったなといった印象です。

 

お気に入りが使いにくい

このオンラインJIMTOFは結構急いで仕上げたと思うので、使い勝手云々で文句はいうべきではないのですが・・・それでも”お気に入り”機能使いにいですね。まず、表示がでかい。お気に入りに入れたくらいなので、会社名だけ表示されていれば問題ありません。表示が大きいので、たくさんスクロールしなければ見たい会社にたどり着けずイライラします。次に、表示がランダムなのは本当に今世紀最大の謎です。お気に入り開くたびに、並びが変わるのは本当に迷惑。せめてあいうえお順に表示されるようにして欲しいですね。

工作機械の知名度アップのコンテンツがない

せっかくのオンライン開催なので、今まで工作機械を知る機会が無かった人に工作機械をアピールするチャンスでもあります。 ただ残念なことにそういったコンテンツが全くありませんでした。結構なチャンスだと思ったんですけどね。

 

「工作機械って何?」という人が思わず覗きたくなるような、そんな仕組み作りをするべきだと思いました。

 

そもそも”名刺交換”ボタンの威圧感がすごい。これがJIMTOF2020Onlineの敷居をかなり高くしてしまった印象があります。 良くも悪くも、いつものJIMTOFのやり方をオンラインに置き換えただけですね。オンラインならではの生かし方がもっとあったはずです。 特に気になったのはSNSとの連携です。普通、この手のイベントでは、右下にSNS共有ボタンがあるはずです。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムを始めとする様々なSNSに情報を共有するためのボタン。それすらないのは、いかがなものかと。この技術面白い、とかこの機械すごいって思ったものをもっと気軽にSNSで共有できるようにすることで 工作機械の知名度、もといJIMTOF自体の知名度をもっと上げれたように思います。

 

工作機械は面白くないから知名度が低いわけではないんです。みんな知る機会がないから知らないだけだと私は思っています。ちゃんと伝えれば面白さは伝わります。確かに工作機械をはじめとする生産材は縁の下の力持ちです。ただ、だからといって、一般に知られなくて良いわけではありません。生産材という縁の下の力持ちがいるということは、知られるべきなんです。だってこんなにも面白いのだから。

 

JIMTOFがビジネスの場であることは百も承知ですが、知名度アップに期待していただけに心残りな部分です。

外部サイトに誘導しすぎ(怒)

大手メーカは自社の外部サイトに誘導しすぎ。工作機械の見本市じゃなくて、外部サイトの見本市じゃないか。JIMTOF側が用意したフォーマットでは、差別化できないのはわかりますが。各社が独自にサイトを準備してそこに誘導することで更に 深く製品を知ってもらう。ここまでは別に良いんです。でも気になるのはその先にある”会員登録” です。JIMITOF2020Onlineを回った人なら既に感じたと思うんですが

 

何度、住所と名前を打たせる気なの?

 

って感じですよね。大手を複数回った方ならなおさらです。既にJIMTOFのログインで個人登録してあるわけですよ。 しかもさらには名刺交換まで行っているわけで。個人情報としては既にその会社に渡っているはずなのに更に外部サイトで個人登録?これは個人情報の二重取りですよね。

 

生産性を追い求めるはずの会社が、こんな形でお客様の貴重な時間と工数を奪うことが残念でなりません。日本を代表する大企業が情けない、工作機械が泣いてますよ。JIMTOF運営側と連携して、次回があるなら是非この辺りはぜひ改善してほしいですね。

まとめ

気合が入りすぎて、だいぶ長い記事になってしまいました。ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。色々と文句も書きましたが、総評としてはJIMTOF2020Onlineはなかなか悪くなかったと思います。これは成功と言っても、いいんじゃないですかね?

 

まあ、それはあくまで見る側の意見であって、企業側の成功はどれだけ商談につながったかです。そう考えると、まだ結論は出ませんね。ただ一つの展示会の在り方としては、アリだと思います。講演会のアーカイブ機能などは、通常のJIMTOFでもぜひ採用してほしいですね。この結果を踏まえて、これからの展示会がどのように開催されるのか、注目していきたいですね。

 

展示内容は全体的に、IoTなどをシステム推す進める展示が多かった印象です。機械的に面白い構造や新しい技術の展示は少なく、どういうシステムを提案するかという方向にシフトしていますね。一時期は3Dプリンタをはじめとする3D金属積層技術が注目の的でしたが、トレンドは完全にIoTに移っています。どの会社もどのようにシステムを差別化できるか、独自のシステム開発に注力しています。

 

実は、私はこの状況に少し危機感を感じています。かつて、工作機械大国であったアメリカが辿った衰退の道、これと同じ道を歩み始めていないか、という危機感です。

 

アメリカは工作機械のNC化の際に、各社がNCを独自で開発するという方法を取りました。その結果、各社が多大な工数をNCの開発に費やすハメになりました。一方、日本はNCの開発はファナックを始めとするNCメーカに一任して、工作機械メーカはパケージ化されたNC装置をメーカから買うという方法を取ります。工作機械メーカは工作機械独自の技術の開発に注力することができ、NC装置は大量生産ができるためコストは下がり性能は飛躍的に向上しました。その結果、日本は工作機械大国になり、逆にアメリカの工作機械は衰退し、今現在の状況に至るわけです。

 

現在のIoTシステムを各社が開発しているという状況は、このNCの時の構図に似ているような気がしてなりません。各社がシステム開発に注力しているということは、裏を返せば規格が統一されていない状態であるということです。

 

IoTのシステムとか規格は、この会社に一任するから、工作機械メーカは機械の開発に集中してね。

 

という国が出てきたら、もしかしたら逆転劇があるかもしれませんよ。それが中国なのか、インドなのか、はたまたまだ注目されていないダークホースなのか。二転三転するかもしれない、そんな世界の工作機械情勢。まだまだ目が離せませんね!!この混沌の時代を日本は勝ち抜けるのか?私も一技術者としてこの乱世に勝利の旗を立てるべく、邁進していきますよ!!

 

今後も日本の工作機械業界にご期待ください^^

 

先ほど紹介したNC機器でのアメリカ衰退と日本の逆転劇の話は、下記の本に詳しく書いてあるので興味のある人は読んでみてくださいね。