ロボットテクノロジージャパン2022が開催されましたね。私は初日に見学してきたので、速報として見どころを紹介したいと思います。とれたて新鮮の情報ですよ、これから来場される方は是非とも参考にしてください。それでは早速行きましょう!!
ロボットテクノロジージャパンって何だ?
ロボットテクノロジージャパン(以下、RTJ)とは、国内最大級のロボット展示会です。
産業用ロボットや自動化システムに特化した展示会であり、ロボットの新技術だけでなくロボットの使い方まで幅広く知ることができます。元々は2020年に初開催される予定でしたが、新型コロナウィルス蔓延の影響もあり、2年延期されていました。
以前、イケメン切粉選手権(下記の記事参照)でニュースダイジェスト社さんの取材を受けた時に「RTJは延期せざるを得ない」という話を聞いていたので、今年無事に開催されて感無量です。というか、もう2年経ったんですね・・・早すぎる・・・。
RTJの見どころ紹介の前に、産業用ロボットの展示を効率よく楽しむための私なりのコツを伝授します。
産業用ロボットの見方
産業用ロボットの展示って、迫力があって面白いんですがボーッと見ているだけだと
凄いだけど、何が凄いのかよくわからない
という現象に陥りがちです。色々なロボット展示がありますが、基本的には下記の4項目に分けて、技術を見ていくと凄さがわかりやすいです。
人間と同じように、ロボットのにも、腕、手、目、脳が備わっています。この区分けで見てみると展示がわかりやすいです。
ロボット本体 (腕)
言わずもがな、動いているロボット本体です。人間で言うところの腕の役割を果たします。色々とメーカーはあり、仕様もマチマチですが、基本的には似たり寄ったりです。(こんな事言ったら、ロボット技術者に怒られそうですが・・・)
展示を見る上では、基本的な3種類だけ覚えれば良いでしょう。
画像引用:FANAC
また、産業用ロボットと恊働ロボットの2種類に分けることができます。
産業用ロボットは使用するためには安全柵が必須となります。一方、恊働ロボットは安全柵が不要で、人と同じエリアで働くことができます。その代わり、仕様が制限されており速度や可搬重量などが低く設定されています。昨今は、恊働ロボットをどのように活かすのか、が一つのトレンドとなっています。恊働ロボットの活用に注目して展示を見てみましょう!
ハンド (手)
人間でいうところの手に相当する部分です。まあ、ハンドですから意味もそのままですが。ハンドは、ロボットとは別物の場合がほとんどで、ロボットメーカー以外の機器メーカが多く提供しています。掴むモノの種類で形状や掴み方そのものが変わったりします。アームで挟んだり、エアで吸着したり・・・、力覚センサを仕込んでみたりと、色々と用途に応じた形状や機能があります。機械要素としてもカラクリっぽくて面白いので、個人的にはハンドは好みの機構です。
どんな種類のハンドでどんなものを掴んでいるか、またどのようにハンドを交換するのか(自動交換機能)に着目してみると良いでしょう。
カメラ (目)
人間でいうところの目に相当する部分です。カメラに関しては必ず備わっているわけではありませんが、ランダムに積まれたモノを掴む動作(バラ積みピッキング)などでは必ず必要になります。カメラと一口で言っても、我々が普段使っている写真を撮るカメラから3次元形状を取得する3Dカメラ、距離情報を取得するToFカメラなど種類は様々です。どういうカメラで、どこから検出しているのかに着目すると良いでしょう。
システム (頭脳)
人間でいうところの頭脳の相当する部分です。産業用ロボットの差別化はこのシステムが肝だと言っても過言ではありません。ただ、システムの優位性は展示を見ただけではあまりわかりません。説明員に「他のメーカーのシステムと比べてどこが優れているんですか?」とちゃんと聞くと、有意義な話が聞けたりします。
特にバラ積みピックングや柔らかい物体のハンドリングには、AIが使われているのでそこも要チェックです。どのようにAIを活用しているのか根掘り葉掘り聞いちゃいましょう!
見どころ紹介
ここからが本題です。RTJ2022を見て、面白いと思った展示を独断と偏見で紹介していきます。ここではざっくり紹介しますので、詳しい内容は会場でご覧くださいな!
産業用ロボット
デンソーウェーブ COBOTTA PRO(会場:B44)
今年発表された新型の恊働ロボットです。従来の恊働ロボットと比べ、可搬重量や速度が飛躍的にアップしているみたいです。元々、デンソーウェーブからはCOBOTTAというとても小さな恊働ロボットが発売されていたのですが、それのパワーアップ版ですね。COBOTTAは非常に可愛らしいですね。
ちなみにちっちゃいCOBOTTAは何故かAmazonに売ってます、お値段は200万円。全然可愛くないですね・・・。
ファナック CRX Series(会場:B37)
もはや紹介するのが憚られるようなTHE定番の恊働ロボットです。恊働ロボットといえばとにかくコイツ、親の顔より見たロボットです。何度見てもスタイリッシュで良いですね、ラインナップも色々。ファナックのブースで見れるのはもちろん、他の展示でも数多く活用されています。
THK NT(会場:C67)
(画像情報なし)
世にも珍しいモジュール型のロボットです。回転、伸縮、昇降がそれぞれ1ユニットになっていて、必要に応じて組み合わせられるロボットです。複雑な作業には向きませんが、必要に応じた機能を選んで持たせられるのでリーズナブルかも??
Sanmei EYESBOT(会場:B45)
RTJの展示の中で一番ロボット感が強いロボットだったので、取り上げてみました。ちょっとボトムズっぽいよね。まあ、男の子は双腕に弱いんですよ(当社比)。みんなもアスタコとか好きでしょ?
(参考画像:アスタコ)
画像引用:日立建機
ハンド
イマオコーポレーション SMARTSHIFT(会場:C51)
スライドでハンドチェンジが行える画期的なハンドです。人間の手とは違って用途に応じて、形を変えれるのがロボットハンドの良いところですね。フレキシブルに交換できるかどうかがポイントですね。
安藤 A HAND(会場:B31)
謎の柔らかハンド。里芋を優しくピッキングしてます。動きが面白かったのでご紹介。
ユニバーサルロボット 高トルクネジ締め(会場:C58)
ネジ締め用のハンドを活用した恊働ロボットでのネジ締めの展示です。高トルクのネジ締めを、恊働ロボットで行うは意外と難しいです。何故ならネジ締めの反力に恊働ロボットは耐えられないからです。そこで「低反力でネジ締めが行える特殊ハンドを利用して、ねじ締めを恊働ロボットで行ってやろう」というのがこの展示です。
システム
MUJIN(会場:B38)
独自のモーションプランニングコントローラを売りとするシステムインテグレータです。リアルタイムでのロボットの軌道生成を売りにしています。こればかりは、文章では説明できないので是非とも実機の動きを見て欲しいですね。とにかくスムーズです。ロボット独自のもっさりとした動きではなく、滑らかな軌道で最短距離を動く感じです。人間の動きにかなり近いですね。展示のバラ積みピッキング・・・本当に凄い!!
安川電機(会場:D47)
言わずと知れた大手産業機器メーカー。展示の売りは“自立分散型のものづくり“。ちょっと複雑な展示なので、かなりじっくり見たり聞いたりしないと仕組みを理解するのは難しいです。早い話が、ロボットが決められた動きをするのではなく、工程の遅れや状況に応じて勝手に動いてくれる仕組みです。「この工程、遅れてるからオレ応援入るわー」みたいな感じで、ロボットがフレキシブルに工程を変化させていく仕組みです。凄い・・・。
その他
ロボテック Moon Lifter(会場:D51)
重い荷物を補助して、まるで月にいるかのように軽くしてくれる電動バランサです。このバランサと小型のロボットを組み合わせて、小さいロボットで重い荷物を持ち上げるという展示がありました。これ面白い発想ですよね。用途によっては大きなロボットを設備するよりも、コストメリットが出そうですね。恊働ロボットとの組み合わせでの活用にも期待できます。
NTツール 非接触式プリセッタ Aegis-iシリーズ(会場:C17)
工作機械用の刃具とホルダを自動で組み付けてくれるという展示です。洗浄、組付、測定を一貫して行うというもので、ありそうでなかったシステムですね。
産業用ロボット体験ゾーン
産業用ロボットと触れ合うことができる企画展示です。ロボットと人間がオセロやジェンガなどで勝負することができます。私も「ハンバーガーを梱包する」という謎のタスクで勝負し、無事に勝利。人間代表として人間の圧倒的な強さを見せつけてきました。皆さんも是非チャレンジしてみてください(オセロとかジェンガはロボットがめちゃ強いので勝ちたいならバーガーで勝負が良いかも?笑)
まとめ
お時間がある方は、是非とも会場に足を運んでみてください。気合の入った展示が盛りだくさんですよ。
ちなみに私の本業は工作機械の開発で、RTJ2022にも多数の工作機械メーカーが出展しています。今回はあえて、工作機械メーカーの展示は紹介から省きました(紹介すると非常にマニアックな内容になってしまうので)。そちらもぜひ、会場に直接足を運んで、確認していただければと思います。
会場にいけない方も速報や展示情報は公式サイトから発信されていますのでこちらをチェックして行ったつもりになってください!!ちなみに次回は、2024年らしいですよ。楽しみですね!!
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