開発日誌 コラム

3Dプリンタで遊ぼう!!~Prusa i3 MK3S+~

3Dプリンタを購入したので、色々なものを印刷して遊んでみました!!

家庭用の3Dプリンタってどのくらいのクオリティのものが印刷できるの?

と疑問に思っている人にとって参考になると思います。また、ざっくりと3D印刷の基礎知識についても書いたので、3Dプリンタに興味のある方も必見ですよ。オリジナルモデルを印刷してみた感想も紹介しますので、是非最後まで読んでみてください。

私が購入した3Dプリンタに関しては過去記事で紹介していますので、興味のある方はこちらの記事も合わせてお読みください!!

では、さっそくいきましょう!!

3Dプリンタの印刷までの流れ

まずは、3Dモデル印刷までの流れをサラッとご紹介します。3Dプリンタを動かすために必要なソフトウェアには、3DCADソフト、フロントエンドソフト、スライサーソフト、ファームウェアなどがあります。印刷までの流れに沿って、それぞれのソフトウェアの役割を見ていきましょう。

3Dモデルの作成・入手 

印刷を行うためには、まず最初に3DCADソフトで印刷したい形状の3Dモデルを作成する必要があります。いくら高性能な3Dプリンタがあったとしても、3Dモデルのデータがなければ印刷することはできませんからね。現在ではフリーで使える3DCADも多く出ているので、パソコンさえあれば誰でも自力で3Dモデルを作ることができます。代表的なフリーの3DCADは“Fusion360“ですね。私も使っていますよ。iPad用の3DCADアプリなども出ており、iPadユーザであればそちらもオススメです。詳細を知りたい方は下記記事を読んでくださいね。

3DCADを扱う自信がない人は、3Dモデルを入手するという方法もあります。世界中のモデラー達が作った3Dモデルをシェアして自由にダウンロードできるサイトがいくつかあります。それらのサイトを上手く活用することで、印刷したい3Dモデルを制作することなく入手することができます。代表的なサイトのリンクを貼っておくので、参考にしてください。

https://www.thingiverse.com/
https://grabcad.com/

印刷プログラムの作成

印刷したい3Dデータが手に入ったら、次はその3Dデータを3Dプリンタを動かすためのプログラムに変換していきます。そのために使用するのが、フロントエンドソフト、およびフライサーソフトです。フロントエンドソフトは、3Dデータを読み込んで印刷位置、積層ピッチ、サポート材の有無など印刷に関する細かな設定を行うソフトです。そして、フロントエンドソフトで決定した設定を元に、実際に3Dプリンタを動かすプログラムを書きだすのがスライサーソフトです。その名の通り、モデルを印刷の層ごとにスライスしてプログラムを作成してくれます。

実際には、フロントエンドソフトとスライサーソフトは一つのソフトウェアにまとめられていることがほとんどです。フリーのソフトウェアもたくさん出ていますが、3Dプリンタを購入すればこれらのソフトウェアが付属してくるので、まずは専用のものを使うのが一番良いでしょう。

ちなみに3Dプリンタを動かすプログラムはGコードと呼ばれる言語です。スライサーソフトは3DデータをGコードに変換するという役割を担っています。Gコードは工作機械などの産業用機械を動かすのによく用いられる言語で、Gというアルファベットの後ろにつく二桁の数字で動作の種類を指定し、あとはXYZの座標で移動先の指示をするという比較的シンプルな言語です。

まあ、難しい話はさておき、3DプリンタはGコードという言語で動いているということを知っておけばよいと思います。

3Dプリンタでの印刷

Gコードができれは、あとは簡単。3DプリンタにGコードを入れて、印刷するだけです。Gコードのデータを読み解いて、3Dプリンタを動作させるのが3Dプリンタ内に入っているファームウェアの役割です。

前置きが長くなりましたが、実際に印刷したものを紹介していきます!! 

テストデータを印刷してみよう!!

私が購入した3Dプリンタ"PRUSA i3 MK3S+"にはSDカードが付属していて、そのカードの中にテスト用の印刷データ(Gコード)が既に入っています。テストデータとは言ったものの、印刷に8時間以上かかる複雑なデータも多数あり、かなりボリューム満点です。せっかくなのでこれらのテストデータを片っ端から印刷していきました。その中でも面白かったモデルを4つ紹介します。

遊星歯車 

印刷時間:2時間53分

遊星歯車が組まれた状態で印刷できました。しかも、ハンドスピナーのようにかなりスムーズに回転します。歯車がバラバラになることはありません、というか破壊しなければ分解できませんね。これこそまさに3Dプリンタならではのギミックです。子供のおもちゃにうってつけですよ。

トリケラトプスの化石

印刷時間: 5時間13分

トリケラトプスの化石が印刷できました。かなり空洞も多くて、複雑な形をしていますが、化石独特の質感というかゴツゴツ感も再現できています。角も鋭くて硬いので、結構危ないモデルです。壁に掛ければ、博物館気分が味わえるかも!?ちっちゃいけど・・・

よくわからない棒

印刷時間: 6時間33分

印刷している途中は、航空機部品かな?と思ってワクワクしていましたが、出来上がったらなんだかよくわからない幾何学的な棒になっていました。このフィンっぽい部分もかなり精巧に印刷できています。こういうのを見ると、今後、航空機産業の複雑な削り出し部品が3D積層技術での製作に置き換わるかも・・と実感しますね。

ポルナレフ?

印刷時間: 7時間52分

あ....ありのまま 今 起こったことを話すぜ! 

3Dプリンタで印刷を始めたら

いつのまにかポルナレフが出来ていた 

なんだかすごくポルナレフっぽいものが印刷できました。有名な石造だと思うんですけど、そういう分野は疎くて・・・。「ポルナレフっぽい 石像」でgoogle先生に問い合わせても答えが出ませんでした、完全にお手上げです。"PRUSA i3 MK3S+"のパッケージにも使われているモデルなので、有名なものだと思うんですけどね。誰か知っていたら教えてください。それまでは、ポルナレフと呼んでおきます。 

オリジナルデータを印刷してみよう!!

テスト印刷をたっぷりと堪能した後は、早速、オリジナルの3Dデータの印刷にチャレンジしてみました。印刷するのは、このブログのマスコットキャラクターであるメカトロザウルス君です。

このモデルは、iPad用の3DCADアプリ"Shapr3D"で作成したものです。一度、3Dプリント代行サービスを用いて印刷したことがあります。詳細は過去記事をみてくださいね!!

3Dプリント代行サービスでは、値段の兼ね合いもあってかなり小さめに印刷しました。材質も最も安いナイロンを選んだので、ちょっとケバケバしてます。まずは、3Dプリント代行サービスに依頼した3Dモデルと同じものをスライサソフトに取り込み、ほぼ自動設定でGコードを書き出して印刷してみました。せっかくなので、艶々に作りたかったので積層ピッチは0.05mmというかなり狭い設定にしてみました。かなり小さいモデルですが印刷に6時間かかる模様・・これは良い品質が期待できますね!!結果・・・

まあ、最初はこんなもんですよね。見事なあごひげザウルス君が出来上がりました。歯も抜け落ちてしまって完全なおじいちゃんですね。顎も解けちゃってます。積層ピッチを細かくし過ぎたこと、サポート材の印刷をお任せにしてしまったことが原因でしょう。6時間かかって失敗すると結構ショックが大きいですね。しかし、メゲずに設定を変えてトライ&エラーをしていきましょう!!

これは何とか上手くいきましたが、サポート材を取り外す際にチャームポイントである眉毛まで取れてしまいました。そもそも、このプリンタの分解能に対して、モデルが小さくて細かすぎるのかもしれません。モデル上は歯もついているんですが、形状が薄すぎるため、フロントエンドソフトに取り込んだ時点で削除されてしまっていました。3Dプリンタで印刷することを意識してモデルを作らなければいけませんね。モデルをそのままに、邪魔にならない程度に大きく印刷してみます。

サイズを大きくすることで、なんとか3Dモデルの形状を完全に再現することができました。いやー、サポート材を剝がすのが本当にめんどくさかった・・・もりもりに付ければ良いってもんじゃないね。結局、サポート材と一緒に印刷物も取れてしまたので、最終的には瞬間接着剤で補修しました。3Dプリンタに適したモデル作りがどんなものなのか、なんとなくわかってきた気がします。良い勉強になりました。

おまけで、カブトムシ用のゼリーのアダプタを作ってみました。最近、ひょんなことからカブトムシを貰って飼育することになったです。そこでカブトムシ用の餌台とゼリーを購入したのですが、ゼリーと餌台の径が異なっていて、事あるごとにカブトムシ君がゼリーをひっくり返してしまっていたんです。これでは可哀そうなので、3Dプリンタを用いてゼリー用の径変換アダプタを作成してみました。

これでカブトムシ君も一安心。こういうちょっとしたモノづくりがすぐにできるのも3Dプリンタの利点ですね!! 

まとめ 

本記事の内容を復習しましょう。

・3DプリンタはGコードという言語で動いている
・複雑なモデルほど、印刷に時間がかかる
・オリジナル部品の印刷には試行錯誤が必要

・3Dプリンタの印刷を考慮したモデル作りが必要
・3Dプリンタは楽しい!!


使ってみて感じるのは、3Dプリンタの印刷品位の高さです。当然、3Dモデル自体のクオリティや印刷設定などのノウハウ的な部分も品位を大きく左右するでしょう。それにしたって、これほどリアルなものを自宅で印刷できる日が来るとは思ってもいませんでした。

実際に3Dプリンタを活用してみた感想としては、印刷かかる時間がネックに感じました。一度失敗すると数時間がオジャンになるので、印刷設定や環境構築は非常に重要。それでも上手くいかない時はいきませんけどね。実際にメカトロザウルス君をしっかり作るまでに、合計の印刷時間で24時間以上かかってます。あごひげザウルス君が量産されて処理に困りまってます(笑)

まあ、それでも自宅でゼロからのモノづくりができる環境があるのは素晴らしいですね。やる気と発想力次第でなんだって作れそうな気がします。というか、実際なんだって作れるんでしょう。

こうなってくると今度は3Dモデリングの技術を高めたくなりますね。違う樹脂も使ってみたいし・・・欲はどんどん出てきます。焦らずコツコツと、3Dプリンタを使いこなせるように頑張っていきますよ!!いずれは電子工作と組み合わせて、機械として動く何かを作りたいですね!そして、人を楽しませる、人の役に立つ、そういう自分のものづくりに繋げていけたらなと思います。

本記事で紹介した3Dプリンタの知識は、下記の本を参考にして書きました。少し古いんですが、非常に勉強になったのでおすすめです。3Dプリンタの購入を考えている人は、まずこの本を読んで3Dプリンタの歴史や機構を学ぶと良いでしょう。

私が使っている3Dプリンタの商品リンクも貼っておきます。私が購入した3Dプリンタは"PRUSA i3 MK3S+"です。この3Dプリンタはかなり有名なもので、世界で最も使われいる3Dプリンタとの呼び声も高いです。完成品と組立キットがあるのですが、おすすめは組立キットです。自分で作ることで3Dプリンタの構造をしっかり理解することができますよ!

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