空気の力で機械を動かす“空圧機器“。この機械要素技術は様々な機械に広く使われています。身近な例で言えば、電車のドアなどがそうですね。歯医者のドリルなんかも空気の力で動いているんですよ。そんな便利な空圧機器たちを正しく動かすのに必要になってくるのが“空圧回路“の知識です。
空圧回路の役割は、必要に応じて適切な空気をアクチュエータに供給することです。そう聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、大丈夫です。本記事では空圧回路の基礎的な知識とその設計手順のイメージをフワッと学べます。厳密な話は省き、さらには小難しい数式を省き、わかりやすく説明してきますよ。
しぶちょー所長からの課題
本記事では、空圧回路設計の流れをフワッと理解するために若干のストーリー形式にしてあります。しばし茶番にお付き合いください。
とある日、しぶちょー技術研究所の助手である"メカトロザウルス君"が、本研究所の所長である"しぶちょー氏"から呼び出しを受けました。
ウェーイwww メカトロザウルス君
研究所のドアが壊れちゃったからさぁ・・・
空圧機器を使って自動ドアを設計してほしいのYO!!
クーアツキキ??よくわかんないけど、わかりました!!
ありがとうGOZAIMASU!!
じゃ、パリピ仲間とナイトプール行ってくるからその間にヨロシク!!
ポンコツAIを搭載しているメカトロザウルス君はなんでも安請け合いしていまいます。助手に研究所のドアを設計させるなよって感じですが・・・まあ、所長の命令なんで仕方ないですよね。メカトロザウルス君は、深く考えず依頼を承諾し、ドアの設計に着手します。ただ、空圧機器なんて扱ったことがありませんし・・・そもそもそれが何かもわかっていないようです。さてさて、まずは何をしましょうか。そんな何もわからないメカトロザウルス君はまずは、このブログ記事を読むことにしました。
ほー、なんとなくわかってた気がするぞ!!
とりあえずドアをどうやって動かすか考えてみようかな
そう思って、まずはアクチュエータの選定を行うことにしました。
アクチュエータを選ぼう
アクチュエータとは、“入力されたエネルギーを物理的な運動に変換する機構“の総称です。要するに、空気圧を動作に変換する機器のことです。行いたい動作によって、選ぶべき機器が変わります。空圧機器でできる動作の種類を見ていきましょう。
・エアシリンダ・・・直線運動
・空気圧モータ・・・回転運動
・揺動シリンダ・・・揺動運動
このように空圧アクチュエータは直線運動、回転運動、揺動運動の3つの動作ができて、それぞれの動作に対応したアクチュエータがあります。さてさて、この中で、ドアの動作に向いているものはどれだと思いますか?メカトロザウルス君と一緒に考えてみましょう!
・エアシリンダは直動方向の往復運動・・・そのまま取り付ければドアを作れそう
・空気圧モータは回転運動・・・ドアを開閉するには、力の向き変換する歯車が必要
・揺動シリンダは揺動運動・・・ヒンジドアなら使えそうだけど、自動ドアには向いてないかな
所長の要求である横スライドの自動ドアの動きであれば、エアシリンダを使うのが一番よさそうですよね。ということで、アクチュエータは"エアシリンダ"を使うことにします。これで、一歩前進だ!と思ったのも束の間、調べたところ 一口にエアシリンダといっても色々種類があるみたいです。さてさて、どうしましょう? メカトロザウルス君はエアシリンダの種類について調べました。どうやらシリンダには大きく分けて二種類あるようです。
・単動エアシリンダ・・・ 空気の力で動いて、バネの力で戻る。
・複動エアシリンダ・・・ 空気の力で動いて、空気の力で戻る。
単動エアシリンダには、バネの力でロッドが出て、空気の力で引き込むタイプもあります。これを単動引き込み型といいます。ちなみに、上図に書いた単動エアシリンダの動きは単動押し出し型と呼ばれます。ロッドが出る方向にだけ力が必要で、戻りは力がいらないという機器に使われます。モノをつかむロボットハンドなどが例ですね。
複動エアシリンダは、ロッドの出、ロッドの戻りの両方の動きで力が必要な場合に使用されます。エアシリンダの推力(ロッドが押す力)は、受圧面積で決まります。空気圧をどのれくらいの広さの面で受けているかということです。面積が広ければ、力は強くなりますし、狭ければ弱くなります。複動エアシリンダは構造上、どうしても戻り側の受圧面積が少なくなるため推力が落ちます。ロッドがある分、受圧面積が減ってしまうんです。出と戻りで同じ力が出るわけではないということは覚えておくとよいでしょう。
さて、話は自動ドアの設計に戻ります。自動ドアにはどのエアシリンダが適切でしょうか。自動ドアの場合、開くときと閉じるときで二つの動作で力が必要なので複動エアシリンダが必要だとわかりますね。 よってアクチュエータは複動エアシリンダを選びます。 しかし、考えなければならないことはまだまだたくさんあります。 ゆっくりしていたら、所長がナイトプールから帰ってきてしまいますからね。さて、次は何を決めましょうか。ドアを開閉する方法は決まったので、どうやって動かすのかを考えましょう。 ということで、空圧回路の設計です。
多分間違ってないはず・・・・
空圧回路を設計しよう
エアシリンダは圧縮空気がシリンダ内に入ることでロッドが伸びたり縮んだりします。冒頭でもお伝えしましたが、空圧回路の役割は、必要に応じて適切な空気をアクチュエータに供給することです。 自動ドアに適切な空気ってなんなんだ?と考えながら設計を進めていきましょう。
兎にも角にも、空圧回路の“く“の字もわからないメカトロザウルス君は、まず空圧回路の登場する機器たちを整理することにしました。まずはざっくり全体を見渡す・・これは素晴らしいことですね。調べたところ、下記が空圧回路を構成する登場人物達のようです。
・アクチュエータ
・方向切替弁
・速度制御弁
・空気圧供給ポート
・配管経路
細かいことを言うともっと色々ありますが、本記事はフワッとなので代表的なこの5種類の機器で考えます。 とりあえず、アクチュエータは復動のエアシリンダにしたからOKで・・・次はシリンダの動きを切り替えるための ”方向切替弁”を選んでみましょう。
方向切替弁を選ぼう
方向切替弁は、その名の通り空気の流れの方向を変えてアクチュエータの動作方向を切り替えるための機器です。 図のように部屋を切り替えることで空気の流れを入れ替えます。
この部屋をどういう仕組みで動かすかによって種類が分かれます。今回は回路の話をメインなので、このあたりの理解はフワッとでよいですよ。
一般的に最も使用されるが電磁力で部屋を動かす電磁式のものです。一般的にはソレノイドバルブと呼ばれます。今回の自動ドアでもこのソレノイドバルブを採用しましょう。例によってソレノイドバルブにもまた色々と種類があります。空圧機器・・・深いですね。回路を設計するうえで理解しておきたいソレノイドバルブの分類を見てきましょう。
まず、ソレノイドバルブは、シングルソレノイドとダブルソレノイドに分けることができます。シングルソレノイドは片側だけにソレノイドがついており、もう片側にはバネがついています。ソレノイドに電気を加えることを“励磁“というのですが、励磁した際に電磁力で部屋がスライドします。励磁が切れると、バネの復元力で部屋の位置が元に戻ります。電源が入っていないときは必ず同じポジションに戻ってくるのがシングルソレノイドの特徴です。バネの復元力といいましたが、空気圧により元のポジションを維持するプレッシャリターンという種類もあります。ちなみに、上図のバネで戻る種類のものはスプリングリターンと呼びます。
一方、ダブルソレノイドは、これ両側にソレノイドがついています。その名の通り、ダブルですね。右側、左側のソレノイドをそれぞれ単独で励磁させることで部屋を切り替えることができます。 励磁が切れた場合、今のポジションを維持します。シングルソレノイドのような決まったポジションは持ちません。
シングルソレノイドの良さは、非常にシンプルなことです。ソレノイドが一か所だけなので、信号のON-OFFだけで機器を制御することができます。 例えば、ONの時だけ空気を噴射する装置、とかONの時だけ出てくる押し出し棒とか、こういう単純な機構に向いています。安全側に故障させる設計(フェールセーフ)にも使われます。 空気噴射装置の例で言えば、ダブルソレノイドだと断線などでソレノイドが故障したとき空気が出っぱなしになってしまう可能性がありますが、シングルソレノイドではかならず決まったポジションに戻ってくるので、そういった心配がありません。
ダブルソレノイドの良さは、決まった部屋を維持することです。シングルソレノイドの場合、万が一動作中に断線などを起こしたら バネの復元力で部屋が切り替わってしまいます。例えばこれがエアシリンダだった場合、ロッドの動作方向が突然逆転することになるわけです。 これが自動ドアだったらどうでしょう、ソレノイドが壊れた瞬間、突然閉まるドアって危ないですよね。ダブルソレノイドを使えば、断線や停電があっても今のポジションを維持することができます。つまり開く途中でソレノイドが壊れても、開ききるまで動作しますし、閉じるときも然りです。 このようにシングルソレノイドの復元力が逆に危ない方向に働く場合、ダブルソレノイドを使用します。
なんとなく特徴が掴めてきましたね。しかしまだまだ続きます。ダブルソレノイドには、さらに2位置、3位置という2種類が存在します。 上述したダブルソレノイドの説明は2位置のもので、部屋を3つ持っている3位置のダブルソレノイドというものが存在します。両側にソレノイドがついているのは、先ほど説明した通りですがさらに両側にバネがついています。そして部屋を3つ持っていますね。これは、励磁が切れると真ん中の部屋に戻ってくるソレノイドバルブです。 部屋を3つ持つことで3つの動作ができるようになります、エアシリンダでいうなら伸び、縮み、そして停止です。
真ん中に追加された部屋は停止のためのものです。そして励磁が切れた際には、必ず真ん中の部屋(停止)に戻るようになっているのが 3位置のダブルソレノイドバルブです。この中央の部屋がどういう形になっているかでさらに3種類に分かれます。
クローズドセンタ・・・全ての回路がふさがれる。止まったあとは手で動かせない
プレッシャセンタ・・・全ての回路に圧力が掛かり、力が吊りあった位置で止まる。止まった後は手で動かせる
エキゾーストセンタ・・・アクチュエータの回路が大気開放になる。シリンダはフリーとなるので、手で動く
先ほどから種類別れすぎですね、いったん整理しましょう。これまで説明したのはこんな感じです。まるで方向切替弁のトーナメント表です。King of 切換弁の称号は一体誰の手に・・・。冗談はさておき、あとちょっとですよ。
ソレノイドバルブの部屋の内部の話の移りましょう。ソレノイドバルブはポート数でも種類分けができます。代表的なポート数は4ポートか5ポートです。そもそもポートとは何かというと“空気の出入り口“のことです。エアシリンダを動かす場合、空気圧の供給、排気、アクチュエータへのヘッド側とロッド側の4つの出入り口があれば事足ります。 5ポートの場合は、2つの出力方向に対してそれぞれ独立した排気ポートを持つことができます。 伸びるときと縮むときで、空気を排気するポートを変えれるということです。一般的に使用されるのは5ポートですね。
ここまで説明してきたように、ソレノイドバルブは、ソレノイドの数、部屋の数、ポートの数でいろいろな組み合わせがあります。 部屋の数とポート数の数の組み合わせは下記ように表すので、覚えておくとカタログを見るときなどに便利です。
ポート数/位置数
3位置5ポートの場合・・・5/3
2位置4ポートの場合・・・4/2
さてさて、説明が長くなりましたが結局知りたいのは、どれが自動ドアに向いているんだい!?っということです。 説明を読む限り、ドアなら2位置のダブルソレノイドでよさそうですね。というわけで、これにしちゃいましょう。
これだけ揃えば、なんだか回路っぽいものができそうだぞ?とりあえず配管経路も書いちゃいました。おお、それっぽい!!これでひとまず空圧回路は出来上がりです・・・?そんなことはありません、先程の登場人物の中でまだ出てきていない人がいます。そう、速度制御弁です。
速度制御弁を取り付けよう
現在の回路の状態だと、シリンダは供給圧力に応じて全力で動きます。そんな自動ドアは危険で仕方ありませんよね。なので、ゆっくり開いてゆっくり閉じるように調整したいです。そのための機器を取り付けましょう。それが速度制御弁、別名スピードコントローラ、略してスピコンです。スピコンには、一方向の空気の流れを絞る機能が備わっており、空気の流れを遮ることで速度を落とす方向に調整します。取り付け方には空気の入口で絞るか、出口で絞るかの二種類があります。
画像引用:SMC HP
メータイン・・・入口で空気を絞って速度を調整する。
メータアウト・・・出口で空気を絞って速度を調整する。
一般的には、制御性の良いメータアウトが使われます。今回の自動ドアの用途でも、メータアウトで使用するのが良いでしょう。この辺り、少し深掘りして学びましょう。同じように絞っているだけなのに、なぜ入口で絞るのと、出口で絞るので制御性が変わるのでしょうか。メータインとメータアウトのイメージをみてみましょう。
石を押している子が空気圧君です。それを邪魔しているのが、メータイン君とメータアウト君です。メータインくんは圧縮空気くんを直接ひっぱっていますね、一方メータアウトレットくんは石を反対側から押してます。一見、同じように見えますけど、とある現象が起きると違いが出てきます。それは、石の重量の変化です。
このイメージだと、どちらも問題なく押せそうな気がしますし、実際に大差ないと思います。ただ、突然石の重さが軽くなったらどうなるでしょうか。極端な話、石の重さが突然0kgになったと想像してみてください。メータインの場合は、前につんのめってしまうような気がしませんか。一方、メータアウトは石が軽くなっても、石の後ろで押してくれているので安定しています。これがメータイン、メータアウトの違いのイメージです。
この例えでの”石”とはアクチュエータのことです。実際の機器では、動作中に負荷が変化する状況というのは多くあります。そうなった場合、このイメージの通り、安定した動作ができるのはメータアウトなんです。メータインは、例の通りつんのめってしまいます。このメータインのつんのめり現象は、スキップスリップ現象と言います。
じゃあ、メータインっていつ使うのって話ですが、メータインは単動シリンダやエアモータの速度制御で使用されます。また、後述しますがシリンダの飛び出し防止対策では有効です。というわけで、今回の自動ドアにはメータアウトでスピコンを取り付けるようにします。では、さっそく付けてみましょう。
これで空圧回路は完成です!!バーン!!
おっ!しぶちょー所長が帰ってきました。早速チェックしてもらいましょう。
回路を見直してみよう
所長、できました!!
メカトロザウルス君、早すぎパネエっす!!
どれどれ・・・これは!!!うーん、55点!!
60点が合格ラインだとすれば、ギリギリ落第。意外と、厳しい判定が降りましたね。無茶振りしたくせに、ひどいですね。パワハラです。では、所長の指摘を聞いていきましょう。
60点が合格ラインだとすれば、ギリギリ落第。意外と、厳しい判定が降りましたね。無茶振りしたくせに、ひどいですね。パワハラです。では、所長の指摘を聞いていきましょう。
万が一、ソレノイドバルブの配線が断線したり
停電とかが起こった時、この自動ドアはどうなるのか考えYO!!
その辺りは考えましたよ、急に動き出したりはしません!!
じゃあ、仮に停電したとして
研究所の中に居る人は外に出れるのかな?
あ・・・・
その通り。この回路では、2位置のダブルソレノイドバルブを選びました。つまり、今の位置を維持するように働きます。故障やトラブルがあっても、ドアが開いていたら開きっぱなし、閉じていたら閉じっぱなしになります。つまり、ドアが閉じていたら中にいる人は閉じ込められてしまうわけです、これは安全とは言い難いですね。
対策としては、二つあります。バルブをシングルソレノイドに変えて、励磁なしでドアが開くように回路を組むこと。しかし、バルブの故障時にドアが突然開くことになるため、別の危険が発生しそうですね。もう一つの対策は、3位置ダブルソレノイドのエキゾーストセンタを選ぶこと。そうすることで、故障時にはシリンダ内の空気が抜けるため、手でドアを動かして外に出ることができます。どうやらこれが正解そうですね。
じゃあ、3位置のダブルソレノイドに変えたら100点なんですか?
いや、そうとも言い難いんだYO。
エキゾーストセンタを使うなら、飛び出し現象の防止回路を組む必要があるんDA。
飛び出し現象ってなに?
空圧機器を扱う上で、避けて通れない問題の一つが"飛び出し現象”です。飛び出し現象は、回路内の圧縮空気を抜いてしまった際に発生する現象で、とんでもない速さでシリンダが動きます。まさにシリンダからロッドが勢いよくズバッと飛び出す現象です。この現象はかなり厄介で、人身事故や機器の破損を招く可能性があります。
なぜこんなことが起きるかというと、回路内の圧力が抜けてしまうことでメータアウトでの速度制御ができなくなるからです。メータアウトは、説明した通り排気回路内でいわば空気の糞詰まりを起こさせて、シリンダの動作速度を制御しています。排気回路内に圧縮空気が抜けてしまった場合、この糞詰まりを起こすことができずにシリンダがズバッと出てしまうわけです。スピコンがついていないのと一緒ですね。エキゾーストセンタの場合、中央位置から動作復帰すると、必ず飛び出し現象が起こるので対策が必要になります。また、ずっと機器を使わずに放置していても、自然と圧縮空気が回路から漏れてしまうこともあります。工場などで、休み明け一発目の動作は、飛び出し現象が起こるなんていう空圧回路も珍しくありません。
飛び出し現象対策として有効なのは、スピコンをメータインで配置することです。ただし、メータインではどうしても動作が安定しない場合は、メータイン・メータアウト回路にすることもあります。二つとも付けちゃおうぜって魂胆です、こうしておけば飛び出し防止、かつメータアウトの動作安定性も得ることができます。
また、飛び出し防止弁を使用した回路も有効です。シリンダ内に圧力がない場合はメータインの役割を果たし、圧力がある場合はメータインになる便利な回路です。
画像引用:SMC HP
へーなるほど、空圧回路は奥が深いんだなあ!!
空気は目に見えないからね、思わぬ事故を起こすことがあるんだ。そのためには、どういう危険が潜在しているかというリスクアセスメントを行う必要があるんだ。じゃあ、さっきのアドバイスを踏まえて回路を修正してみよう。
これが最終の回路図です。なんだかんだで形になりましたね。所長のキャラクターは最後まで定まりませんでしたが。メカトロザウルスくんの設計修行はこれからも続いていく・・・はず?
まとめ
本記事の復習をしましょう。
・空気圧は圧縮空気を使って、機械を動かす技術
・できる動作は、直線、回転、揺動の3種類ある
・方向切変弁には、電磁式(ソレノイドバルブ)、手動式、機械式、空圧式がある
・ソレノイドバルブは、ポート数、位置数、ソレノイドの数で種類が分かれる。
・速度制御弁の取り付けには、メータインとメータアウトがある。
・空圧回路の設計は、“飛び出し現象“に注意する必要がある
・空圧回路の設計は、壊れたときどのように動作するかをしっかり考える必要がある
今回は空圧回路の設計をテーマとして、設計手順の大まかな流れを追うように書きました。フワッと理解することを目的としているため、機器の細かい選定方法までは説明しませんでした。まあ、そういうのはメーカの資料を見て学ぶのが一番確実ですからね。空圧回路設計の全体感を掴んでいただければ、幸いです。
本記事の中では特にメカトロザウルスくんが犯したミスは重要で、空圧機器を扱う上では絶対に知っておかなければいけない内容です。空気は目に見えません、それが大きな力を持つ圧縮空気であったとしてもです。空圧機器を動作させることは簡単ですが、システムとして安全を確保するのが非常に難しく、それが空圧回路設計の肝だと言っても過言ではありません。今回は飛び出し現象のみに注目しましたが、実際の設計では残った圧力(残圧)が悪さをすることもあるので、残圧対策が必要になることもあります。また、回路だけでなく電気的にどのように制御するのか、インターロックの条件はどうするのかなど、システム全体でしっかりと作りこむ必要があるんです。実に奥が深いんですよ。
今回扱った自動ドアも、学びのため理解しやすい簡構造にしてありますが、この空圧回路がドアとして正解かと言われるとなんとも言えません。その辺りは誤解なきようお願いします。
また空気圧を扱う際の計算式などは下記の記事にまとめてましたので、そちらも併せてお読みください。
空気圧に関して体系的にガッツリ勉強したい方は下記の書籍がオススメです。