機械設計

パイプ曲げの”送り寸法”の目安

本記事では、配管設計時に役立つ技術情報をお伝えします。機械設計をしていれば潤滑、油圧、冷却など、水や油を使った回路を設計することが多々あります。配管設計でよく使用する部品の一つが"パイプ"です。配管設計時に役に立つパイプ曲げ時の送り寸法(つかみしろ)を表にまとめました。参考としてご活用ください。

パイプ曲げの送り寸法の目安

【PDFデータ】

パイプ曲げの送り寸法の目安

送り寸法ってなに?

画像引用:アストロプロダクツ

 

送り寸法(つかみしろ)とは、曲げ直前・直後のパイプの直線部分の長さのことですね。パイプ曲げには、"パイプベンダー"と呼ばれる工具を使用しますが、その特性上必ず直線部分が必要になります。Rが連続的に変化する複雑な曲げは基本的に出来ません。当然、どんなベンダーを使うのか、手動なのか自動なのかによっても必要な送り寸法は変わります。上記の表は配管曲げ業者の方と話をしながら、パイプ設計において必要な送り寸法を自分なりにまとめたものです。この寸法を守れば、ほとんどの場合で製作できるとは思いますが、あくまでも設計する上での一つの参考ということで扱ってくださいね。

 

新人の頃、パイプの設計がよくわからず、好き勝手に曲げまくったモデルを作って出図したことがあります。まるでヘビのようなパイプでしたが、上司からも特に指摘を受けなかったので新人ながら「こういう複雑なパイプってどうやって作ってるんだろうなー、作る人すごいなー」と思って呑気に待っていました。すると、しばらくしてから製造部から電話があり

 

「なんだこの図面はー!!こんなもん製作できるわけないだろーって業者がカンカンだぞ!!」

 

とお叱りの電話が。本当なら製作不可の図面は、早い段階でどこかの部門から指摘が入るのですが、あろうことか私の生み出したヘビパイプ君は、本物のヘビのようにスルリスルリと様々な網を掻い潜り、業者まで辿りついてしまったのです。

 

 

上司に相談すると、「指摘できずにごめんね。まあ、勉強がてら業者に怒られてきなさい」と爽やかに送り出していただきました。そんなこんなで業者に直接謝りに行った私でしたが、カンカンに怒った社長を前にまさにヘビに睨まれた蛙状態・・・・

 

とはならず、「わざわざ来なくてもよかったのにー」と笑顔で出迎えていただきました。そしてありがたいことに、パイプの曲げ方うんぬんを実物を使って丁寧に教えていただくことができました。そのときのメモを元に作ったのが、上記の表です。まあ、ネットで調べれば、同じような内容はいくつも出てくるんですが送り寸法を中心にまとめている資料が少なかったので、今回まとめてみた次第です。

まとめ

パイプ曲げの送り寸法について復習しましょう。

 

・送り寸法とは曲げ直前・直後のパイプの直線部分の長さのこと

・送り寸法はパイプを曲げるのに必要な寸法

・パイプは好き勝手曲げれない

 

銅パイプなどは、細いものなら手で好き勝手曲げれるくらい柔らかいですが図面通り作ろうと思うと意外と難しいものなんです。ベンダーでの曲げまで考慮して設計できるとよいですね!!配管設計全般は、ホースであれパイプであれ設計センスが求められる部分です。組みやすく、メンテしやすく、そして美しく。

 

神は細部に宿る。

 

という有名な言葉がありますが、配管設計はまさしくソレです。素晴らしい機械は総じて、配線・配管も美しいものです。見た目がカッコよくてもカバーを開けて、配線がぐちゃぐちゃだったらお客さんはがっかりですよね。パイプ一つ、配管一つとっても侮りがたし。美しいパイプ設計で、機械に神を宿しましょう!!

 

 

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