“ものづくり”がテーマのオススメ小説5選

書籍紹介

日々、参考書や学術書を読んで技術の勉強に励んでいるそこのあなた!!その心意気は大変に立派ですが、そんなに根詰めていては疲れてしまいますよ。たまには、趣向を変えて“物語”からものづくりを学んでみてはいかがでしょうか?というわけで、本記事ではものづくりをテーマとしたおすすめ小説を5つ紹介します。学びもあって、仕事のモチベーションも上がる・・・小説は最強の教科書かも!?では早速紹介していきましょう!!

削り屋

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●あらすじ
本作の主人公 剣拳磨(つるぎけんま)は、どこにでもいる大学生とは少し違った。俗にいう”ボンボン”という奴だ。彼の父親は歯科医院を開業しており、彼もまた歯科医を目指して歯科大学に通っていた。親の敷いたレールを進む現状に嫌気が指す一方で、そのレールを明確に拒絶することもできない。そんなジレンマを抱えながら、モヤモヤとした日々を送る拳磨。

そんなある日、とある事件が起こる。その事件をキッカケとして拳磨は、大学を止め、家を出る決意を固める。家を出た拳磨が行く当てもなく彷徨って、偶然たどり着いたのがしがない町工場。そしてそこには、”旋盤工募集、住み込み可”の張り紙が・・・・、この偶然の出会いが拳磨の人生を大きく変えていくことになる。


タイトルからもわかる通り、“削り”をテーマにした物語です。主人公の剣拳摩が旋盤を通して”ものづくり”に接していくことで”一人の旋盤工”として、そして”一人の人間”として成長していく王道のストーリーです。拳摩の師匠となる伝説の旋盤工オニセンこと、鬼頭仙作(きとうせんさく)は拳磨が初めて出した切粉を見てこんなセリフを呟きます。

「お前の切粉、いい匂いがするな」

何この溢れ出る職人感。こんな思わせぶりなセリフ、いつか言ってみたいですよね。私も今年入ってきた新人に「へー、お前の図面、いい匂いがするな・・」というセリフを呟いて熟練の設計者感を醸し出そうと思いました。ヤバい先輩がいると、新入社員の中で噂になること間違いなしです。

冗談はさておき、この小説では汎用工作機械の大切さがよくわかります。NC工作機械が広く普及して一般的になった現代だからこそ、この小説を読んで汎用機の大切さとものづくりの熱さを再認識してほしいと思います。主人公の拳磨が感じる切削加工への感動は、私が工業高校に入った時に感じた感動と全く同じで非常に懐かしく爽やかな気持ちになりました。

この小説に欠点があるとするなら、読み進めるのに旋盤の基礎知識が必要だということですね。旋盤や加工を全く知らずに読み進めると、途中で話についていけなくなる可能性が高いです。加工するワークの形状も全て文章で説明されているのですが、それも今一つわかりにくい。挿絵があると良かったんだけどなーと思います。

あと登場人物の個性が尖りすぎているので、ちょっと感情移入しずらいんですよね。ほぼすべての登場人物のやることが極端すぎて・・・(笑)

ストーリー自体は少し荒削りな感じがしますが、それでも工作機械がテーマの小説は珍しいので、おすすめの一冊です!!

鋳物屋 なんでもつくれます

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小学館
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●あらすじ
下町の鋳造所「清澄鋳造」で働く清澄流花(きよすみるか)。彼女は清澄鋳造の跡取りであり、そして大の鋳物オタクでもある。小さい頃から鋳造に触れて育ってきた彼女にとって、鋳造は”太陽を流し込むこと”であり、何よりも美しくそして魅力的であった。しかし、そんな清澄鋳造に突然ピンチが訪れる。大手メーカーからの単価の引き下げ、厳しい納期短縮の要求、そして発注の打ち切り・・・まさに倒産寸前。そんな状況を打破するべく流花は、持ち前の明るさと鋳物愛を武器に大胆な改革を図っていくのだった。そんな時、国内最大手の鋳物メーカ大村鋳造の跡取り大村と出会い、とある鋳物製造技術を知ることになり・・


最初に紹介した小説”削り屋”と同じ作者『上野歩さん』の小説です。鋳物をテーマにした本作では、鋳物の話だけでなく日本の鋳造業界全体が抱える“後継者不足”や”下請けいじめ”などの問題もストーリーの中に垣間見ることができます。

私も仕事柄、鋳物屋さんと付き合いはありますが、規模の小さい鋳造所はどこも経営が苦しそうです。製造業の3K(きつい、きたない、危険)を代表するような劣悪な職場環境。鉄を溶かすための電気炉の維持やメンテナンスにも莫大な費用が掛かります。どこの会社も生き残るために必死です。

本作に出てくる清澄鋳造は、生き残るための突破口として“フルモールド法”にチャレンジしていきます。フルモールド法は木型の代わりに発砲スチロールを使用するという比較的新しい鋳造法です。この話が結構、鋳物の技術の勉強になりますよ。

ストーリーは、主人公ルカが生きる現代の話と、清澄鋳造の創設者の戦時中の話が交互に語られる構成となっていて、過去と現代がだんだんと繋がっていくのが非常に面白いです。オリンピックの聖火台やトーチの話もストーリーに絡んでくるので、まさに今読むとタイムリーかもしれませんね。鋳物の事を学べるオススメの一冊です!!

下町ロケット

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●あらすじ
ロケット開発の技術研究員であった佃航平(つくだこうへい)は、ロケット打ち上げの失敗の責任を取り、研究施設から去った。長年の夢であったロケット開発の道を諦めて、父親が経営する佃製作所を継ぎ中小企業の社長となる。しかし、夢を捨てきれない佃は本業の傍らで、技術研究にも力を入れてさまざまな特許を取得していく。

ある日、大企業の帝国重工が何年も掛けて開発した新技術の特許を取ろうとした際、既に同種の特許を“佃製作所“が開発し取得済みだという事実が判明する。焦った帝国重工は、特許を20億で譲渡してくれと交渉を持ち掛ける。歓喜に沸く佃製作所の社内であったが、佃だけは浮かぬ顔であった。特許の譲渡ではなく、部品を供給してロケット開発に携わりたいという夢が頭の中をちらつく。しかし、それはリスクが高すぎると、社内から猛反発を受ける。技術者としての夢を取るか、社長として会社の安定を取るか・・・夢と現実の狭間で佃の心は揺れる。そして、反対を押し切り、夢を追うことに決めた佃に様々な試練が押し寄せる。

これはもはや超王道ですね、知らない人の方が少ないかもしれない言わずと知れた名作です。2015年にはドラマ化もされてかなり話題になりました。ストーリも王道のサクセスストーリーといった感じで、読んでいて気持ちが良い!!作者はあの半沢直樹シリーズでも有名な池井戸潤さん。

お高く止まったライバル企業や大企業の社員や役員が、これまた悔しいくらいにムカつくんですよねー。こんな腹立たしい奴が居るのかというくらい、嫌らしく描かれています。そういう奴らを努力と技術でぎゃふんと言わす瞬間・・これはもはや快感です。

この小説で学びになるのは“夢を追う情熱”だと思います。いつからか諦めてしまった夢・・本当にそのままで良いのか?と考えさせられます。ものづくりには夢と情熱が欠かせないんです。本当はやりたいことがある。でも忙しいから・・家族がいるから・・・と諦めているあなたの背中をこの小説が押してくれるかもしれませんね。

夢を追う勇気を貰えるオススメの一冊です!!

ちなみに、ストーリーの中には技術的・専門的な話はあまり出てこないので一般向けですね。本作のカギを握る”バルブシステム”が何なのか理解できなくても物語は十分楽しめます。ただ、事前知識としてロケットのことを知っておいた方がより楽しめると思います。個人的には事前にホリエモンこと堀江貴文さんのこの本を読むと良いと思います。堀江さんは自信もISTというロケット開発のベンチャー企業を立ち上げており、この本にはロケットのことが非常にわかりやすく解説されています。

インターステラテクノロジズ株式会社 - Interstellar Technologies Inc.
宇宙空間へ低コスト・オーダーメイドのロケット打ち上げサービスを提供します。宇宙圏に到達する観測用ロケットと小型衛星等を宇宙空間に運搬する軌道投入用ロケットを独自開発しています。


空飛ぶタイヤ

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●あらすじ
中小運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎(あかまつとくろう)。ある日、工作機械を運送中だった赤松運送のトレーラのタイヤが突然外れて、不幸にもそのタイヤが歩道を歩いていた母子を襲う。子供は軽傷だが、母親は即死であった。赤松は”容疑者”として、世間から激しいバッシングを受け、会社も倒産寸前に追い込まれてしまう。

事故の原因調査の結果、出た結論は赤松運送の”整備不良”。しかし、自社の整備に落ち度はなかったと確信する赤松は、トラックそのものに欠陥があったのではないかと疑問を持つようになる。愛する家族や社員を守るべく、そして被害者の無念を晴らすべく、瀕死寸前の運送会社が大手自動車会社「ホープ自動車」の闇に戦いを挑む。


2018年に元TOKIOの長瀬さん主演で映画化されたことでも有名ですね。作者はこれまた半沢直樹シリーズ、下町ロケットでお馴染みの池井戸潤さんです。この話は、実際にあった三菱のリコール隠し事件を題材として書かれた小説です。元となった事件の詳細に関しては、Wikiを読むと良いでしょう。

三菱リコール隠し - Wikipedia

本作を”ものづくりをテーマにした小説”というと少しズレて聞こえるかもしれませんが、ものづくりの世界は”失敗を乗り越えて大成功した”というサクセスストーリーばかりではありません。失敗を乗り越えることができず、責任を取る必要がある場合もあります。むしろ、現実ではそちらの方が多いかもしれませんね。私も会社で働く中で、責任を取るという形で左遷になった人たちを何人も見てきました。

ただ、責任は取らされるものではなく、自ら“持つ“ものだと思います。ものづくりは、ただ“もの“を作り出す作業ではありません。作り出したものに対して、誇りと責任を持つことまでが”ものづくり”なのです。責任を持つのは、会社であり、部署であり、そしてそのものに携わった全ての人です。 責任を持つ覚悟のないものに、ものを生み出す資格はないと言い切れます。

本作はまさにそのものづくりにおける“責任”がテーマです。物語を純粋に楽しむのはもちろんですが、もしあなたがホープ自動車の社員で、この隠ぺい事実を知っていたらどのような行動を取ったのか、という視点でも読んでいただきたいですね。

この小説としては、上下巻と分かれていて結構ボリュームがあります。上巻は精神的に追い詰められるパートであり辛い描写も多いですが、下巻からの巻き返しはまさに池井戸潤ワールドといった感じです。

ものづくりにおける責任とは何かを考えされられるオススメの一冊です!!

粋な旋盤工

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●あらすじ
粋な旋盤、小粋な仕上げ、馬鹿でもできるターレット。今から何十年も前、それこそNC工作機械が世に出始めた頃、そんな言葉が町工場で聞かれるようになった。職人が手で作る火造りの工具から、使い捨てのスロアウェイ工具へと切り替わり、機械はハンドルを回さずともプログラムで動く。職人から作業者へ、業物は大量生産品へ。失われつつある技能、そしてものづくりの”粋”。旋盤工作家の異名を持つ小関智弘さんが自身の体験を元に等身大の町工場を切る取った名作エッセイ集。


まず注目すべきはこのタイトルの渋さですよね“粋な旋盤工” 。私に言わせれば、このタイトルの時点でもはや読まない理由がありません。この小説を一言で表すなら”町工場のリアル”です。小説というより、実体験に基づく町工場の話といった感じですが 、非常に多くの学びを得ることができます。やりがい、技能、転職、労災、労働組合、下請けいじめ・・・時代背景こそ古いものの、現代でも共通する様々な問題が多く描かれており、逆に驚きました。 時代が進み技術はすさまじく進歩しても、人そのものはほとんど進歩していないのではないかとすら思わされます。

作者の小関智弘さんは実際に町工場で旋盤工として働いきながら作家としても活動していたという異色の経歴の持ち。旋盤工としての経験がそのまま文章に表れていて、凄く引き込まれます。内容は一般向けとは言い難いのですが、私は大好物でした。職人という生き方が学べるオススメの一冊です。

ただこの本は古すぎてkindleおろか新品の本すらないので、中古の本を買うしかありません。 その点は少しネックですね。ただ、同じ作家の書いたもので、更にオススメの本があります。小説ではないのですが、小関さんが色々な町工場を訪ねた経験を綴ったエッセイ集です。“粋な旋盤工“も面白いのですが、時代背景もあり独特の読みづらさがあります。小関さんの作品に興味のある方は先にこちらを読むと良いでしょう。こちらは電子版も出ていますし、とても面白いですよ!

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まとめ

本記事を復習しましょう。

・削り屋・・・切削の魅力
・鋳物屋 なんでも作ります ・・・鋳造と伝統
・下町ロケット ・・・ものづくりの夢
・空飛ぶタイヤ ・・・ものづくりの責任
・粋な旋盤工 ・・・職人という生き方


何を学べるかというのは人それぞれのことだと思いますが、必ず得るものはあるはずです。全部とは言いませんで、気になったものを是非手に取って見てください。私の拙い文章では、これらの小説の良さは全く伝わらないと思いますが・・・飾らず言うなら全部良かったです!!

実は私は小説ってそんな読まないんですよね。大体、参考書か自己啓発本ばかり読んでます。今回は、この記事を書くために敢えて小説を読んだみたいなところがありますが、正直かなりハマりました。他のも紹介したい作品はありますが、今回は5選に絞って紹介しました。これからまた読み貯めていって、紹介記事を書きたいと思います。お楽しみに!!

逆にオススメの小説があれば是非教えてください。ものづくりがテーマになっているのがベストですが、あなたが思う”これ読まなきゃ人生半分損してるよ”的なオススメ小説あれば是非しぶちょーまで連絡を!!

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