いまさら聞けない!?DX(デジタルトランスフォーメーション)ってなに?

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“デジタルトランスフォーメーション“というカッコいい言葉をご存知ですか?DXと表記されることもあります。どこか男心を擽られる響きがあるこの言葉。ここ数年、インターネットや書籍などでよく目にするようになりましたよね。

 

え?はじめて聞いたんだけど・・・

 

っていう人は結構ヤバいですよ。そんなあなたは、残念ながら時代に取り残されつつあります。でも心配いりません。本記事では、DXを知らない、もしくは聞いたことあるけどあまり理解していないという人の向けてDXの概要を簡潔にわかりやすく解説していきます。是非、本記事を読んで勉強してください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)ってなに?

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を一言で言うなら

 

『デジタル技術を使って、大きな付加価値を生み出そう』


という取り組みのことです。DXという言葉の意味を見ていきましょう。

 

デジタル(Digital):情報を電子データに置き換えたもの。0と1の組合せで表される。
トランスフォーメーション(Transformation):変形、変化、変換

 

となります。直訳では、“デジタル変換”です。これだけでは、ふーんって感じですよね。では、何故DXがこれほど話題になっているのでしょうか?それは、国が主体となってDXを推進しようとしているからです。ことの始まりは、2018年に経済産業省から発行された“DXレポート“です。このレポートで国は「みんな、積極的にDXを導入して革新的な働き方をしよう」と言っています。

 

ちなみに国が定義するDXの意味は下記です。


“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”


なんだか、こう・・・カッチカチですね。まあ簡単に言えば、「業務で取り扱う様々な情報を“データ化“して、上手に活用していこう」ということです。しかし、ここで一つ疑問が浮かびます。

 

わざわざ、国が主導しなくてIT技術なんて自然にが広がっていくんものなんじゃないの?便利なんだし。最近だと、AIとか、IoTとか色んなIT技術が注目を集めているし、既に色んな企業が導入してるじゃん。大きなお世話じゃね?

 

確かに、それも一理ありますね。しかし、国が主導しているのは訳があります。国は我々に言っているのです。

 

フフ・・・ヘタだなあ企業君。へたっぴさ・・・!

データ活用の仕方がへた・・・。


国は親切にアドバイスしているのではなく、“今のままではヤバい“と警鐘を鳴らしているのです。多くの企業は、今までの業務のやり方は変えずに、デジタル技術を導入します。を挙げるなら、今まで紙で扱っていたものがPDFなどのデータに置き換わっただけでデジタル化したと満足しているのです。国がDXを推進するのは、この風潮にメスを切り込むためです。


既存のやり方にデジタル技術を導入するのではありません。デジタル技術に合わせて、既存の業務体系やそのビジネスモデルを変革していくことが重要であり、それこそがDXの本質です。これからの時代を生き抜く為にはそういう変革を起こす必要があり、今の日本はそれができていないと国は“DXレポート”で言っているのです。日本は“ヤバい“と。


では、日本が今現在、どういう問題を抱えているのかを見ていきましょう。

2025年の崖

 

 

経済産業省が発行した”DXレポート”の中では、日本が直面している危機を“2025年の崖”と表現しています。

 

日本の企業の8割が、無意味に複雑化した古いITシステム(通称:レガシーシステム)を抱えています。このレガシーシステムは企業の根幹にまで広がっているため、一新することが難しく、維持費ばかりが掛かります。また企業ごとに複雑にカスタマイズされているため、システムの全容を把握している人もいません。どうなっているのか、誰もわからないというまさにブラックボックス。それゆえに手を加えることが難しく、「まあ使えてるからいいか」と使い続けられています。

 

まるで秘伝のタレの如く、足りない機能は”継ぎ足し”で、元が何かもわからないほど肥大化して引き継がれているんです。元の味を誰も知らないレシピ不明の秘伝のタレ・・・とりあえず、食べれるしまあいいか。食当たりを起こし取り返しがつかなくなるまで、誰も疑問を持たないのです。そして今、まさに食当たり寸前です。

 

このレガシーシステムが足枷となり、DXの導入・活用が阻まれているのが現状です。レガシーシステムが残っている企業では、現状のデジタル技術に対応できずに国際競争で敗者となる可能性が高いと言われています。そんな企業が日本の8割を占めるって・・・それはもう火曜サスペンス劇場もびっくりの崖ですよ。仮にこのレガシーシステムが現状通りに残存した場合、2025年には最大12兆円(年間)の経済損失になると言われています。これがDXレポートで語られる”2025年の崖”です。これが今の日本の”ヤバさ”です。


我々はなんとかして、この2025年の崖を乗り越えなければならないのです。現在では国の警鐘の効果もあり、DXが大きな注目を集めるようになりました。崖を乗り越えるべく、デジタル部門に力を入れる企業も増えてきたようです。しかし、実際にDXを活かした変革に繋がっている企業は少ないと言われています。この原因は、手段と目的の逆転にあります。DXを導入しようと思ったとき、どの企業も考えることは同じで例えば「IoTを使って何かできないかな」という着想からスタートするんですよね。これはデジタル技術を使うという手段自体が、目的そのものに置き換わっています。明確なビジョンがないんですね。


冒頭でも、書いたようにDXを一言で言うなら

 

『デジタル技術を使って、大きな付加価値を生み出そう』

 

ということ。つまり”大きな付加価値”とは何なのか、どのような価値を生み出す必要があるのかという目指すべきビジョンを明確にすることが大切なのです。Howから入らず、Whatから考える。当たり前の話ですが、自分で気が付くのは難しいかもしれませんね。


ここまでの話で、DXの概要と日本が抱える問題はざっくりわかりました。ただ、具体的な話がなくて、まだモヤモヤしますよね。ここからはもっと具体的な話をしてイメージを固めていきましょう。ただDXの取り組みは、業種ごとに全く違ったものになります。私は製造業に携わる者なので、本記事では製造業に絞って具体例を見ていきたいと思います。

製造業におけるDX

まずキーワードからお伝えします。製造業におけるDXの最も重要な役割は

 

“エンジニアリングチェーン”と”サプライチェーン”を”シームレス”に繋ぐことです。

 

カタカナ英語の猛攻にルー大柴も顔面蒼白ですね。でも大丈夫、ちゃんと説明していきます。トゥギャザーしようぜ。

製造業の二つの鎖

ものづくりの製造工程には、大まかに分けると二つの連鎖があります

 

 

・エンジニアリングチェーン・・・研究開発-製品設計-工程設計-生産といった製品の開発から生産までの流れ

・サプライチェーン・・・受発注-生産管理-生産-流通・販売-アフターサービスなどといった製品の販売までの流れ

 

ものづくりでは、この2つの連鎖を通じて、付加価値(製品・サービス)を生み出しています。そして大切なのは、このエンジニアリングチェーンとサプライチェーンの連携です。DXで期待されるのはこの2つのチェーンの連携に革新を起こせるということです。


製造業では、“製品の品質とコストの8割は設計段階で決まる”と言われています。これは機械設計者なら嫌というほど身に染みてわかっている圧倒的事実です。つまり、製品の品質や価値を高めるには開発初期段階であるエンジニアリングチェーンに対して前もって様々なインプットが必要なわけです。そのインプットはどこからやってくるかというと、サプライチェーンからやってきます。

 

販売後の製品の動向、顧客の声、現場での不具合や課題、品質問題等・・・

 

サプライチェーンが持つこれらの情報をどのようにエンジニアリングチェーンにインプットするのか。なるべく早く、そして正確に。DXに期待されるのはこの部分の連携強化なのです。

シームレスに繋ぐ

シームレス(seamless)とは、つなぎ目(seam) + をもたない(less)という意味です。ここでいう、シームレスというのはつなぎ目がないほどに一貫した連携という意味ですね。


現状、設計部門と製造部門の間のコミュニケーションが十分に行われていないというケースが多々見られます(私が勤める会社も例に漏れず、コミュニケーション不足が否めません)。これには、設計部門と製造部門で異なるITシステムを導入しているため、連携がうまくいっていないというパターンもあります。これも耳の痛い話ですが・・・。その場合に生じる問題としては


・設計データを製造のためのデータの変換処理に膨大な工数が掛かる
・製造現場の情報が設計に反映されず、一向に現場の負荷が減らない
・設計段階で見込まれなかった作業工数や調達のコスト情報が設計側に反映されない(コストが合わない)
・設計部門と製造部門で伝達ミスが発生するため、頻繁に打合せが必要

 

等があります。エンジニアリングチェーンとサプライチェーンの連携を深めるための第一歩として設計部門、製造部門が使うシステムを統一して、各部門が情報を共有することが重要です。これにより双方向の円滑なデータ連携が可能となります。上記の問題の解決はもちろんのこと、上手くデータベース化できれば、例えば、部品の形状変更をするとき、その影響範囲をすぐに確認できるかもしれません。(どの工程に影響がでて、どの手配が変わる等)。部品に不具合情報や不良品情報などが紐づいていれば、次に類似設計をする際の改善にも繋がります。設計と現場にとどまらず、企業全体、もしくは顧客との間でもこのような連携を実現できれば更なるビジネスモデルの革新を行うことができます。製造業におけるDXの役割はまさにそれです。

 

3DCADデータ、3D図面を用いた“バーチャルエンジニアリング”もDXで注目されている活動の一つです。これは、企画、設計、製造、営業等の各分野の専門家が3D図面を用いて製品開発に参加することができるというものです。エンジニアリングチェーンへのインプットを増やす手段の一つですね。3D図面に関しては、過去に記事を書きましたので興味あればご一読ください。

 

固定観念を打ち破れ!!図面レス化への道~MBDの取り組み~
MBDとは、モデルベース定義の略です。簡単に言うと"図面は書かずに3Dモデルだけに全ての情報を統合しようよ“という取り組みです。図面は絶対に必要だという「固定観念」に囚われていませんか。今こそ、図面信仰の固定観念から解き放たれるときです。MBDの取り組みを紹介します。MBD:Model Based Definition、3Dアノテーション etc・・・

まとめ

本記事の内容を復習しましょう。


・DXは、”デジタル技術を使って、大きな付加価値を生み出そう”ということ
・日本はデジタル技術の活用がヘタッピ
・老朽化したシステム(レガシーシステム)がDX導入の障害となっている
・日本の8割がレガシーシステムを持っていると言われている
・このままでは2025年には12挑円の経済損失となる(2025年の崖)
・製造業におけるDXの最大の役割は、”エンジニアリングチェーン”と”サプライチェーン”を”シームレス”に繋ぐこと。


問題の本質は、日本に根付く文化にあると思います。「出る杭は打たれる」、「右へならへ」など周りと一緒であるということを重要と考える日本の習慣が、変化を拒み、現状維持を生み出しています。使えてるから今のままでいいじゃん、という事なかれ主義。そのしわ寄せが、”2025年の崖”として我々に立ちはだかっているのだと思います。しかしこれすらもまだ氷山の一角だと私は思います。このままだと第二、第三の崖が様々な形で襲い掛かってくるでしょう。


「2025年の崖がやられたようだな」

「奴は四天王のなかでも最弱」

「DXごときに負けるとは、崖四天王の面汚しよ」

 

きっとまだ崖四天王達が息を潜めて、その機会を伺っているはずです。デジタルトランスフォーメーションでは、単なるデジタル変換ではなく我々の根本にある価値観をトランスフォームする必要があるのです。

 

現状を打破し、新しい価値観を受け入れて変革していく。

 

問題を抽象化して見てみれば、求められていることはこういうことです。何も企業に限ったことではなく、あなたの、そして私の人生そのものにとっても大切なことですね。さあ、今こそトランスフォーム!!!

 

本記事は下記の資料を参考に書きました。詳しく知りたい方は、読んでみてください。経済産業省が発行している資料で無料で見ることができますよ。

 

DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)


DX推進指標とそのガイダンス

デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました (METI/経済産業省)


2020年版ものづくり白書 
第1章第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

2020年版ものづくり白書(PDF版) (METI/経済産業省)