開発日誌

【自己複製】3Dプリンタを改造せよ!!

昨年、3Dプリンタを購入しました。それからというもの事あるごとに色々なものを印刷し続け、だいぶ使い方にも慣れてきました。ここで一つ、3Dプリンタの改造にチャレンジしようと思います。まあ、大した改造ではありませんが3Dプリンタの"自己複製"という性質を利用して、よりオリジナリティ溢れる3Dプリンタへと改造しますよ。

3Dプリンタの購入を検討している方、こういう楽しみ方もあるということを知っておくと機種を選ぶ時の参考になるかもしれません。是非ともご一読ください。それではいきましょう!

改造って何するの?

まず、私が昨年購入した3Dプリンタから紹介します。

Prusa i3 mk3S+です。

このプリンタの詳細な説明は下記の記事にまとめてありますので、ご一読ください。

この3Dプリンタは世界で最も使われている3Dプリンタと言われています。Prusaの最大の特徴はRepRap(レップラップ)プロジェクトの3Dプリンタであるということです。RepRapとは

Replicating (複製する)
Rap
id-prototyper (3Dプリンタの古い呼び名)


の略です。このプロジェクトは、3Dプリンタの製作方法や部品モデルなどの全データをオープンソースにすることで、誰でも複製できる3Dプリンタを作ろうというプロジェクトです。このプロジェクトの3Dプリンタは、部品自体が3Dプリンタ自身で製作できるような形状に設計されています。つまり、3Dプリンタを使って3Dプリンタを作り出すことができるわけです。この特性を“自己複製”といいます。まるで生き物が繁殖するかのように3Dプリンタから3Dプリンタが生まれ、更にはオープンソースにより世界中の人々から改良が加えられ、生き物が歴史の中で進化するようにその性能を高めてくというわけです。

そんなわけで“Prusa i3 MK3S+”を構成する部品の多くは3Dプリンタで作られたものです。今回はその自己複製という特性を使って、3Dプリンタを改造していきます。

さて、そして私が今回どんな改造を施すかというと・・・

この3Dプリンタを緑にします!!
緑にします!!(大事なことなので2回いいました)


色を変えるだけ・・・と侮ることなかれ。もちろん、色を塗るわけではありませんよ。このオレンジ色の樹脂部品を、3Dプリンタを用いて緑色の樹脂で印刷し直し、このプリンタに組み込みます。自分自身の部品を自分で作る・・・まさに3Dプリンタの自己複製です。

この改造を施すことで仕様や機能が追加されるわけでも、性能がアップするわけでもありません。色が変わるだけです。でも自分の持ち物が緑になったら誰でも嬉しいですよね!?少なくとも私は嬉しいのです。というわけで、早速トライしていきましょう!

モデルをダウンロードしよう

Prusaの3Dモデルは、3Dプリンタを購入してユーザ登録さえしていれば公式HPからダウンロードすることができます。STLという3Dプリンタでよく使用されるファイル形式になっているため、そのまま印刷プログラム作成用のスライサーソフトに入れ込めば、簡単にプログラムを作成することができます。

https://www.prusa3d.com/

ちなみに、Prusaの最高に面白いところは、公式HPにアップデート用のモデルデータがあるということです。旧機種から新機種へのアップデート部品を自分で勝手に印刷して、最新版にアップデートできるんです。

ソフトウェアの世界では当たり前のアップデート。スマホのアプリやOSでも鬱陶しい程アップデートされていきます。一方、ハードウェアのアップデートは基本的には不可能。しかし、RepRapの3Dプリンタならそれが可能なんです。私がこのプリンタを気に入っている理由の一つです。もちろん樹脂部品以外の部分で形状の変更があれば追随できませんけど、それ以外の変更なら自分で最新機種に改造できるわけですからね。

これは最高にクールですよ。この仕組みを考えた人は間違いなく天才です。ちなみにPrusaの産みの親は私と同い年の技術者です。本当に尊敬します。と同時に、自分ももっともっと勉強して頑張らなければならないと思わされますね。私もこんなクールで素晴らしいものを生み出したい!!

さて、だいぶ話は逸れてしまいましたが・・・3Dデータが入手できたところで早速改造していきましょう。

自己複製を体感しよう

部品自体は昨年末からコツコツと印刷してきました。長いものだと、1つの部品で10時間くらい掛かるので全ての部品を印刷するのに上手くいっても一週間くらいは掛かります。しかも今回は、印刷時の部屋の温度調整が甘く樹脂部品が歪むなどの不具合に見舞われました。結果、大量の不良在庫を抱えることに・・・。部品を印刷しきるのに、一か月くらい掛かりました。(ダラダラ進めていたせいもありますが)

というわけで、何とか印刷できた勇敢な緑の戦士たちがこれです。今からこの子達に私のPrusaの一部となってもらいます。では、組み込んでいきましょう。

私はこのPRUSAの組立キットを買ったので、自分で一から組み立てた経験があります。なので、一通りの部品の組み替えができますが、完成品を買った人にとってはこれだけでも結構難しいかもしれません。そういう意味でも組立キットを買うのがおすすめですよ。

 そして・・・

完成

出来たー!!完成しました、グリーンPRUSA!!

オレンジ色もカッコよかったですが、やっぱりがいいですね。ちなみに一回バラすと、キャリブレーション等の設定をやり直す必要があります。一通り調整して動作確認しましたが問題なし!正真正銘、グリーンPRUSAの完成です。満足感がエグい。 

まとめ

本記事の内容を復習しましょう。

・PRUSAは世界で一番使われている3Dプリンタ
・RepRapプロジェクトの3Dプリンタは、自己複製可能でオープンソース
・自己複製とは3Dプリンタ自身が自分の部品を生み出すこと
・PRUSA公式HPから3Dモデルのダウンロードが可能
・緑色に染めると満足感がエグい


改造とは言ったものの、公式HPのモデルデータを印刷して交換するだけなのでリスクは低めでした。それでも、自分の3Dプリンタが生み出した部品がそれ自身を動かしていると考えるとちょっと不思議な感覚ですね。自己複製がどんなものなのか、身をもって体験することができました。

ちなみにPrusaの部品は公式HP以外からでも3Dモデルの共有サイトで探せばいくらでも入手できます。世界中の有志たちが改造・改良を施したPRUSA亜種はたくさんあります。誰かが考えたアイディアをすぐに手元で形にして、機能として使うことができる。国を超えてアイディアを共有したり、派生させたりできるわけです。こういうものづくりをDIWO(Do  It With Other)と呼びます。

そうやって入手して印刷した部品を見るたび、「このモデルを作った人は、どういう気持ちでこのモデルを作ったんだろうか。どういう国のどういう人なんだろうか。」と思いを馳せます。こういうのって素敵だと思うんですよね。是非とも、皆さんにも体験してもらいたいですね。

3Dプリンタの購入に迷っていているなら、Prusaおすすめですよ。特に組立キット!

過去に3Dプリンタの選び方を解説した記事もありますので、迷っている人はこちらも是非ご覧ください。

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