今回は、合同会社StateArt様からのご依頼で執筆した案件記事となります。
本記事では、合同会社StateArt様が開発したハードウェア開発タスク管理ツール
Devel Hub(デベルハブ)
の紹介・レビューを行っていきます。それでは早速いきましょう!!
Devel Hubってなんだ?
Devel Hubとは・・・
今までになかった全く新しい
「ハードウェア開発タスク管理ツール」です。
と・・・・言われて、ピンとくる人は少ないでしょう。そもそも"ハードウェア開発タスク管理ツール"って何だ?って話ですよね。早い話が、ハードウェア開発用の進捗の見える化ツールです。ハードウェアと表現するとしっくりこないかもしれませんので、本記事では「ハードウェア=機械や部品」というイメージで話を進めていきます。
ソフトウェア分野ではGitHubを始めとする優れた進捗・履歴確認ツールがそれこそ山のようにありますが、ハードウェア分野はこういったツールがほぼ皆無です。そこでこのDevel Hubの出番です。Devel Hubを活用することで、ハードウェア開発におけるチームメンバーの開発進捗を常に見える化して、効率的に開発を進めることが可能なのです。素晴らしいですよね。
ん?あなた、今もしかして
「いやー、そもそも進捗管理で困ってないしなぁ・・・」
と思いましたか?
ノンノンノン・・・、それは大きな勘違いです。断言しましょう、あなたは困っています。ただ、そのことが当たり前すぎて気が付いていないだけなのです。これから開発を行なっていくという熱意に燃えたスタートアップ企業の方も同様ですよ。ハードウェアを開発するのであれば、履歴管理に備えなければ必ず困ります、規模が大きくなってしまってからでは遅いです。
では、具体的にはどういう風に困ってしまうのか・・・
それは、現在のハードウェア開発の進捗管理における問題点を見ていけばわかります。
気が付こう!ハードウェア開発の進捗管理の問題点
実際にハードウェア開発の管理は問題だらけです。一言で表すなら、極めて人任せ。属人的です。私は約10年間、機械の開発業務に携わっていますが常々感じています。最近は、ソフトウェア系の開発にも少しづつですが携わっているため、ハードウェアとソフトウェアの開発の差を強く感じるようになってきました。そこで感じた問題点は、大きく分けて3つあります。
誰が何をしているのかわからない
あなたは同じ部署の他のメンバーが『今なんの仕事をしているのか』をすぐに答えることが出来ますか?
一般的に業務に関する指示は上司からメールで下りてきますよね。
「この部分、ちょっと気になるから修正しておいて」
という感じで。このやり取りは、上司と部下の間で1対1で行われるのが普通で、他のメンバーは誰がどんな指摘を受けたのかを把握していません。気を使ってメールのCCでメンバーにメールを配布したとしても、多忙な中では自分宛てのメール以外は軽く流し見するだけで終わってしまいます。
誰がどんな指示を受けて、どんな仕事をしているのか。上司は把握していたとしても、メンバー同士では情報共有ができていません。チームで働く以上、上司と部下のコミュニケーション以上にメンバー同士のコミュニケーションが大切です。
私も上司から「メンバー全員がもっと周りの人の仕事に関心を持つように。もっと綿密なコミュニケーションを」と指示された経験があります。皆がそれぞれ忙しい中で、「今何やってんのー?」って聞いて回れってことか?とイラっとした覚えがあります。それは現実的ではありません、個人の意識に頼りすぎです。
なぜ、メンバー同士での情報共有が出来ていないのか・・・それは個人の意識の問題ではなく、結局は仕組みの問題です。そういう仕組みが無いから、情報共有がなされていないのです。
検討の履歴が残らない、追いづらい
一般的に業務に関する指示は上司からメールで下りてきますよね。指示の一つ一つを忘れないように、メモして付箋を貼って貼って貼って・・・モニターが付箋ライオンになっていませんか?
指示一つ一つを付箋やエクセルに残さないといけないのは、メールが指示の履歴を管理するのに向いていないからです。メールの中には指摘や指示内容が確実に残っているけど、大量のメールの中に埋もれてしまうので、探し出すのは一苦労です。ちゃんとフォルダ分けして整理している人もいますが、それに頼っていたら結局人任せですよね。得意な人もいれば苦手な人もいます。
そして何よりも問題なのが、メールでは検討の履歴が残しずらいということです。上司から指摘は一度では終わりません。何度もメールのやり取りをしながら検討が進んでいきます。積み重なるRe:Re:Re:Re:Re:Re:
いつ誰からどういう指摘を受けて、どのように設計を修正したのか?
そういった開発の履歴がメールの中に埋もれてしまっていませんか。開発担当者しか知らないことがあるという現状を当たり前の事だと捉えていませんか。
なんでこの形になっているのかわからないから、設計担当者に聞きに行こう!
あっ、あの人辞めちゃったんですね・・・
これで"詰み"ですよ。これは開発あるあるです。真面目な人は開発の履歴を残すけど、不真面目な人は残しません。昨今は人材は流動的で、転職も多いですので、こういったことが多発します。履歴が残らないという事は、「会社にノウハウが残らない=会社が成長しない」ということを意味します。
メンバー全員がCADを扱えるわけではない
ハードウェア開発にとって必須ツールといえるのが、3DCADです。しかし、開発に関わるメンバー全員がCADを取り扱えるというケースばかりではありません。営業担当、現場担当、生産管理担当・・・・etc、ハードウェア開発において情報を共有すべき相手は多岐にわたります。これらのメンバー間での開発進捗の共有のためにCADや専用のビューアーが必須なものの、価格が高いため、そう易々とは導入はできません。
基本的にCADを扱えるのは開発メンバーだけなので、進捗を他部署のメンバーに見てもらおうとしたら、わざわざ自席のPC画面の前に来てもらって一緒に画面を見るしかありません。自席周りに人だかりができます。リモートワークが進むこのご時世に、こんなことではいけませんよね。
前置きが長くなりましたが、ここからがDevel Hubの話です。
上記で上げた現状のハードウェア開発の進捗管理の問題点3つ。
1. 誰が何をしているのかわからない
2. 検討の履歴が残らない、追いづらい
3. メンバー全員がCADを扱えるわけではない
これらは全てDevel Hubの導入で解決することが出来るのです。
Devel Hubを使ってみよう
ここまで勿体ぶられたら、Devel Hubが気になって仕方がないですよね。
お待たせしました、百聞は一見にしかず!!
早速、Devel Hubを実際に使っていきましょう。
とはいっても、Devel Hubは本来チームで使うものなので、私一人でポチポチ使っても、あまり意味がありません。現在、しぶちょー技術研究所で開発中の"IoTラジコン"を題材として、仮想の開発チームのやり取りをDevel Hub上に再現してみました。これで実際の業務に使用した際のイメージが付きやすいはずですよ。
では、Devel Hubにログインしてみましょう。
最初の画面では、このように登録された検討内容が並んでいます。Devel Hubを使えば、このように製品開発における"タスク"を一箇所にまとめておくことができます。これにより、タスクを自由自在に検索することができます。詳細検索欄を開くと、このようにタグ、優先度、リスク、担当、期日、状態・・・など、色々な条件で検索することが可能です。ここでは、担当で一度検索してみましょう。
このように担当者で検索すれば、その担当者が抱えるタスクが一目瞭然です。これで、「1.誰が何しているかわからない」なんて問題は起こりようがないわけです。ただし、上記のようにタスクが列で表示されているだけでは、その業務がなんなのかよくわかりませんよね。その点もDevel Hubでは上手いこと工夫されているんです。それがこのBOMツリーです。
Devel Hubでは、製品ごとに上図のようなツリー構造を作ることができ、それぞれにタスクを紐づけることができるのです。例えば、この"ギアボックス/rev0"をクリックしてみましょう。すると下記のように表示されます。
今度は、ギアボックスというユニットに紐づくタスクと担当者が一目瞭然となりました。チームメンバーは、この1ユニットに関わるタスクの情報を共有することができます。では、そろそろ具体的なタスクの中身を見ていきましょう。ここでは、"ギヤ比の検討"をクリックしてみます。すると下記の様に表示されます。
まずタスクの具体的な内容が書いてあります。添付ファイルも付けることができます。ここまでは普通ですが、面白いポイントが2つあります。
一つは、関連部品の欄です。このように一つのタスクに対して、複数の部品やアセンブリを関連付けることができます。これは極めて重要です。なぜなら、実際に開発現場で発生する検討課題は、複数のアセンブリや部品を跨ぐ場合が多いからです。シンプルな例で言えば、AというユニットとBというユニットに干渉という問題があった時、「干渉回避」というタスクはAとBの共通のものとなります。
上図のIoTラジコンの場合、“ギヤ比の検討“のタスクに対して、「ギア(動)」「ギア(従)」「ギアボックス」「ボディ」という4つのユニットが絡んでいるのがわかりますね。そういった複雑な相互関係もこのように見える化できてしまうのです。
2つめの面白いポイントは子課題の欄です。この"ギア比の検討"に関係のある他のタスクも紐づけて見える化することができるのです。ハードウェア開発では、タスク同士が複雑かつ相互に影響しあうこともよくあります。それ故に今までの管理は、担当者の工夫任せで属人的に行うしかありませんでした。しかし、このように子課題として、タスク同士の紐づけが明確になることで、タスクの相互関係が見える化できます。
この2つのポイントのおかげで無駄なやり取りが減って、スピード感のある製品開発が可能となります。また検討の抜け漏れも減りますので、一石二鳥です。
"ギヤ比の検討"のページを下にスクロールしていくと、今度はコメント欄が現れます。ここで検討内容に対する指摘を追加したり確認することができます。
誰が何を指摘したのかが一目瞭然となっています。そしてこのやり取りが、タスクに紐づいて残り続けます。この仕組みにより「2.検討の履歴が残らない、追いづらい」という問題が解決できます。メールでのやり取りでは到底なし得ない芸当ですよ、これは。何か問題があった時、すぐに遡ることができますし、類似のアイテムを開発する際は参考にすることができます。仮に担当者が会社を辞めても、検討履歴は残り続けるわけですから、会社のノウハウとして検討履歴を蓄積していくことができるわけです。
そして更に注目したいのが、この上図の赤枠部分。何やら3Dモデル(stepファイル)がアップロードされているようですが、ここをクリックすると・・・
なんと、Devel Hub上で3Dモデルの閲覧が可能なんです。モデルの確認はもちろん、寸法計測や指摘コメントの追加などさまざまなことができます。これを活用すれば、「3. メンバー全員がCADを扱えるわけではない」という問題も解決でき、自デスク前に行列ができる心配もなくなるわけです。
このようにDevel Hubは、現在のハードウェア開発管理ツールの問題点を根こそぎ解決しているのです。
使ってみた感想
実際の開発の中で使ったわけではないですが、記事執筆の為にDevel Hubを使ってみた率直な感想を述べたいと思います。Devel Hubは案件云々関係なく、とても面白いツールだと感じました。
開発における管理の問題を、極めてシステマティックに解決してくれるツールでありながら、ガチガチに固まっているわけでなく、良い意味で使い手の工夫の余白が残されています。
本記事を書くにあたり、最初に福原社長とヒアリングした際に、私は「もっとCAD側と連携させて、モデル管理とかもできるようにしたらどうか?」と意見しました。設計者の立場から言えば、使うツールが増えるのは避けたかったからです。Devel Hubを導入しても、メールが無くなるわけではないですから、単純に使うべきツールが一つ増えてしまいます。そのことが気になっていたから、何かの代替にならないか・・・と考えてしまいました。
しかし、Devel Hubを触ってみた今では、"独立しているからこそ良い"と感じます。出来ることを増やしすぎず、かつ必要な機能がまとまった"This is 最高に丁度いい仕組み"です。
Devel Hubを導入することで、開発スピードが上がりますし、ノウハウも蓄積されて会社としての技術力も向上していくと思います。ただし、個人的な見解としては、Devel Hubは部品点数の多い開発製品には向かないと感じます。部品点数が、数千点あるような大型機械のタスクをこのツールで管理するのは少々無理があるでしょう。また、既に多大なノウハウやデータが存在する大企業にも向きませんね。
なので、Devel Hubは「開発履歴をノウハウとして蓄積したい中小企業」や「開発スピードを上げたいスタートアップ企業」などに最適のツールだと思います。
まとめ
本記事の復習をしましょう。
・Devel Hub(デベルハブ)は、全く新しいハードウェア開発タスク管理ツール
・現状の開発管理ツールには多くの問題があるが、皆あまり気にしていない
・私が現状の開発管理ツールに感じる問題点は主に3つ
1. 誰が何をしているのかわからない
2. 検討の履歴が残らない、追いづらい
3. メンバー全員がCADを扱えるわけではない
・これらの問題はDevel Hubを導入することで解決できる
下記は、合同会社StateArtの福原社長のNoteの引用ですが
"ハードウェアエンジニアとして働いたとき、納得がいかない点がありました。使うツールが古すぎることです。CADのUIは微妙だし、基板製造を頼んでもやりとりはメール&エクセルで抜け漏れが起きやすし。ソフトウェア開発でGit Hubなどをちょっと触っていた私は、ハードウェア開発のツールが洗練されていないことに違和感を感じていました。"
"ハードウェア開発のプロセスやツールは、CADの普及以来20年間「世界中」で変わっていなかったのです。この時、自分だけの問題から、世界中のハードウェア開発で起きている問題へと意識が変わり、「この課題、自分で解決したい」と思うようになりました。"
と仰っています。それだけハードウェア開発におけるツールは遅れているのが現実です。福原さんの意見には私も強く共感します。CADが普及して、更にPCの性能向上に伴って、CADで出来ることがどんどん増えて便利になっていきました。でも、なかなか変わらないものが一つあります。それは人の働き方です。
いくら新しいツールが出ても、人の働き方が変わらなければ、ただ道具を持ち替えただけに過ぎません。今までのやり方の延長線上ではなく、ツールの本質を理解し、働き方自体を能動的に変えていく必要があります。それがVUCAと言われる今の時代を生き抜くために求められる力の一つだと思います。
今回紹介したDevel Hub(デベルハブ)というツールは、導入自体が働き方を能動的に変えるキッカケになると思います。というのも、今までこういったツールは存在しなかったので、半強制的に働き方が変わります。人任せにせず、仕組みで解決するというのはまさにこういう事だと思います。是非とも、あなたの会社でも導入を検討してみてください。
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●福原社長のNote