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若者に技術者が見えていない・・・だから読んでほしい一冊! しぶちょーが懐中電灯で照らし、驚く高校生たちと半透明だったエンジニアが見えてくるイラストに、書籍『機械設計ってこんなにおもしろい』の表紙を添えたアイキャッチ(書籍レビュー【PR】)

書籍紹介

若者に技術者が見えていない・・・だから読んでほしい『機械設計ってこんなにおもしろい』【書籍レビュー/PR】

※本記事はiCAD株式会社の提供によるPR記事です。

「機械設計ってこんなにおもしろい―機械設計1年目・宮永翔、奮闘中!」

書籍『機械設計ってこんなにおもしろい―機械設計1年目・宮永翔、奮闘中!』の表紙を手に持った写真。iCAD株式会社監修、百々泰著、日刊工業新聞社のテクニカルノベル

今回はこの書籍を紹介していく。まずタイトルを見てほしい、なんてストレートなタイトルだろうか。基礎から学ぶ⚪︎⚪︎、誰でもわかる△△・・・数多にある技術書とは一線を画す引きのあるタイトル。機械設計の"おもしろさ"にフォーカスしている小説なのだ。

この書籍のタイトルには、首がもげるほど縦に振らざるを得ない。

そう、機械設計は面白いのだ。

『機械設計ってこんなにおもしろい』を読みながら、首がもげるほどうなずく筆者(しぶちょー)のイラスト

本記事では、この本を読んだ感想に合わせ、私的な機械設計の面白さを解説していきたい。なかなか伝わらない、機械設計の面白さと難しさ、深掘りしていこう。

それでは早速いこう!!

本の紹介

まずは、本書の基本情報をサラッと押さえておこう。

書籍情報まとめ。書名『機械設計ってこんなにおもしろい―機械設計1年目・宮永翔、奮闘中!』、著者 百々泰、監修 iCAD株式会社、出版社 日刊工業新聞社、発売日2026年4月12日、A5判・並製・232頁、本体1,800円+税、ISBN 978-4-526-08430-0

出版社は、日刊工業新聞社。私もお世話になっている出版社で、製造業のエンジニアはほぼ必ずといっていいほどお世話になっている。そんな技術書の老舗だが、今回紹介する本は同社のラインナップの中でもかなり異色で、"テクニカル小説"という形式をとっている。その名の通り、小説の形式で技術を学ぶ本のことで、物語の合間にイラストや図を使った補足解説が挟まる、隙を生じぬ二段構え。

監修は、本記事のスポンサーでもあるiCAD株式会社。機械・装置設計専用の純国産3D CAD「iCAD SX」を開発している会社だ。なぜCADベンダーが小説の監修をしているのかというと、背景にあるのは「機械設計者・装置設計者の後継者不足」という業界の課題。機械設計の面白さを、業界の将来を担う若者に伝えたい・・・それが本書の企画のねらいなのだ。CADを売る前に、まずCADを使う人を増やさねばならない。なかなかに気合の入った話だ。書籍の概要はこれくらい。ここからは、私がこの本を読んで何を感じたのか、率直に語っていこう!!

読んだ感想

この本を読んだ時の率直な感想は・・・・「俺」じゃん。である。

おそらく多くの設計者が同じ感想を抱くだろう、あまりにもリアルな設計実務が描かれている。この本のあらすじを軽く紹介すると、西村工業株式会社という機械メーカーに就職した新人、宮永翔が主人公。この宮永は最先端のロボットの研究開発に憧れがあり開発職を志したものの、先端分野の競争率は高く、なし崩し的に機械メーカーの設計部に就職した。物語はここから始まるわけだが、まずこの経歴がリアルすぎる。産業機械メーカーの技術部に石を投げれば、まずこういう経歴の人間に当たるだろう。それくらいいる。

設計部で石を投げると主人公・宮永翔のような経歴の若手設計者に当たる、というイメージのイラスト

そんなこんなで、設計現場に放り込まれた宮永翔がさまざまな失敗を経て、設計者として成長していくという、ざっくりいうとそんな物語である。失敗から学び成長していくサクセスストーリー自体は珍しいものではないが、この本の特徴はその失敗の解像度にある。

著者の百々泰氏は、大手プラントメーカーでの設計経験を持つバリバリの機械設計者、その潤沢な経験が本書からは滲み出ている、いな、滴っているといっても過言ではない。

本書から著者の設計経験が滴っているというイメージで、七色に輝く本を掲げる筆者のイラスト

宮永が経験する失敗の詳細は、ぜひ本書を読んで欲しいのだが、設計者がまず経験するのが吊りの失敗。部品を運搬する上で、如何にして安定して吊り上げるか・・・理論でのみ物事を考えると、重心点を通るように吊り穴の位置を設定すれば良いのだが、こういった設計はほぼ失敗する。

現物とのズレがあるし、現場作業の流れもあり、先に別の部品を取り付けたい場合もある。そういったものづくりのプロセスを考慮して、部品の吊り穴の位置を設計しなければならない。ただ、新人はそういった俯瞰的な視点を持てないので、吊り穴の設計で失敗しがちだ。主人公の宮永が経験する最初の失敗がその吊り穴の設計なわけだが、これを最初に持ってくるあたり、著者百々氏の本気具合が窺える。この時点で、多くの設計経験者は「俺じゃん」となるのである。

私も、最初の失敗ではないものの吊りでの失敗は数多くある。いくつか事例を紹介しよう。

吊り角と吊り穴ピッチの注意点を説明する図。吊り角は大きいほど危険で、ピッチが広すぎるとクレーンの揚程が足りず荷台に載らなくなる

吊り時の吊り角とクレーンの揚程を意識できなかった事例。吊り角は大きいほどに危険になるので、なるべく狭くしたい。だが狭くすると当たり前だがクレーンと吊り荷の距離は長くなる。そうすると実は、クレーンの揚程(持ち上げられる距離)が短くなってしまい、乗せたい箇所に物を乗せれなくなってしまうことがある。自社工場ならまだ対策はあるかもしれないが、客先納入でこれが起こると非常に厄介、機械設計にはこういった視点も必要だ。

鋳物部品の吊りの注意点を説明する図。材料の吊りまで想定して、スリングを掛けられる鋳抜穴などを用意すると良い

鋳物部品を設計するときは、"材料自体を吊る方法"を想定しておく必要がある。初めて鋳物部品を設計したときは「材料届いたけどさぁ、これどうやって吊るの?」と現場から指摘があって右往左往・・・具体的には、ナイロンスリングが掛けられる鋳抜穴などの用意があるとベスト。

部品・アセンブリの吊り位置検討の図。重心の真上で吊る良い例と傾く悪い例、アイボルトが壁と干渉して取り付かない例

似た事例が本書の中でも紹介されていたが、吊りの大原則として

  • アイボルトは取りつくか?
  • 安定して吊れるか?

は必須確認項目。特にポカミスとしてやりがちなのは「アイボルト用のタップはあるけど、壁と干渉して取りつかない」というミス。

あとついでに思い出したのだが、塗装用の吊り穴の失敗もあった。板金部品は、塗装をするために吊る必要があり、そのための穴が必要となる場合が多い。それを知らなかった私は、これまたコストダウンのために参考にした板金部品から穴を削除。なんだかよくわからない、使われていない穴が空いている、それに気がついた私は問答無用で削除。無駄を許さないストイックな設計者の俺、カッコいい・・・、そして現場に呼ばれコレである。

塗装用の吊り穴を削除した板金部品を手に「何コレ?」と問いかける現場作業者のイラスト

私が浅はか?いな。穴は深いのだ。穴は穴深さ以上に深い。

と、語り出したらキリがないのだが、脳内の奥深くに眠っていた失敗の記憶を鮮明に思い出すほど、この本で語られる設計の失敗は解像度が高い。機械設計という仕事がどんな仕事なのか、その雰囲気がこれでもかというほど感じられる一冊となっている。

機械設計の面白さってなんだ?

「失敗や苦労はわかったけど、それの何が面白いの?」

これは持論だが、機械設計の面白さは一筋縄ではいかないことにあると思う。この本の一連の流れとして、主人公の宮永が失敗し、そこから学び、気づき、成長していく。この繰り返しだ。これこそ、機械設計の醍醐味であると言える。

機械設計は工学の応用であるから、材料力学・熱力学・機械力学・流体力学などの基礎学問をきっちりと勉強していれば、しっかりと仕事をこなすことができる・・・・という訳ではない。アカデミックとエンジニアリングの間には、大きな隔たりがあり、それは「気づき」で埋めていくしかない。上述したように、穴一つとっても、存在理由があり、現場の背景がある。そういった、莫大な背景を理解しながら、時には現場のガス抜きをして持ちつ持たれつの関係を保ちながら、ものの形を生み出す。機械設計とは単に形を生み出すことにあらず、そういったものづくり全体の流れそのものまで設計することが「機械設計」だと言える。

それゆえに難しく、一筋縄ではいかず、面白いのだ。最近ではAIの登場で様々な技術職が代替されるだろうと言われている、もちろんそこには機械設計も含まれている。SNSでもAIでCADモデリングが自動化できたとか、図面がAIで作図できたとか、図面からAIで3Dモデル化できたとか・・・話題に事欠かない。そのように、はしゃいでいる連中が多い。かくいう私もその一人である。

確かにCAD操作、モデリング、作図といった一部の設計作業はAIで代替できる日が来るだろう、それも遠くない未来に。ただ、それらと「機械設計をAIが代替できること」は全く違う。なぜなら、上述の通り、機械設計は「ものづくり全体の流れを設計する」行為だからだ。機械設計というと、どうしても機械の形を考えて、モデルや図面を書くことでしょ?と思われがちだし、その理解だとおそらくAIで代替できるだろうと楽観視してしまう。だが、この本を読めばそうならないことは火を見るより明らかである。機械設計は一筋縄ではいかない、人間の「気づき」の仕事なのだ。そしてその気づきは、教科書にも図面にも書かれていない。塗装用の吊り穴がなぜそこにあるのか、現場が今どの順番で組みたいのか・・・そういった背景は形式知になっておらず、会社ごと、現場ごと、時には担当者ごとに違う。設計に決まった正解はなく、それは設計者自身が現場と対話しながら自ら決めなければならない。

今後、さらにAIが進化して、「機械設計者がAIで撲滅(笑)」という人たちが出てくるだろう。そういう人たちには、ぜひこの本を送りつけてあげよう。それが夢物語だということが理解できるはずだ、そして送るときは下記のアフィリエイトリンクから買うといいだろう。私もハッピー、送られた方もハッピー、みんなハッピーだ。

設計現場の実態がやや古め

一応、私なりの批評も書いておく。本書は設計現場の実態がやや古く感じる。最近は3Dモデリングを基準とした設計が中心で、2D図面はあくまでも製作のためのものであることが多い(もちろん会社によっても異なるが)。設計検討は、3Dモデルを元にデザインレビューが行われるが、そういった描写は本書にはほぼない。

またPDM(設計データ管理)やBOM(部品表)などの設計情報管理の話も出てこないことも気になった。情報管理は一点ものの設備設計か量産設計かによっても変わってくるが、舞台は工作機械を中心とした一般産業機械メーカーなので、該当するはず。事例が少し、プラント寄りな気もしなくもない。図面を書かずに設計を進める流用設計や組み合わせで機械の種類を増やすモジュラー設計などの視点もあると、より実務として深みが出ると感じた。

ただこれに関しては、機械設計実務のメインたる「形を決める、図面と向き合う」という部分を学生に伝えたいという想いから敢えて省いているとのこと(iCAD関係者談)。ぜひ、続編があれば、BOMの表を前に奮闘する宮永君も見てみたいものだ。

まあ、それらは重箱の隅をつつくような些細な問題で、本書で描かれる失敗事例はどの現場にも共通する「設計あるある」であることには変わりはない。

技術者が見える世界へ

この本はこれから設計職につく新人、すでに働いている中堅社員にとっては有益な実務書となるが、もう一つ重要な役割を担えると思う。それは、機械設計の仕事がどんな仕事か、表に出すための本だ。世間一般がイメージする(そもそもイメージすらないかもしれないが)機械設計の仕事と、実際の業務には乖離がある。実際の機械設計がどんな仕事なのか、若い子達に知ってもらうためにこれほどうってつけの本もないだろう。

自分の運営するメディア「ものづくりnoラジオ/ものづくりnoシテン」の中でもよく語るのだが、こんな調査結果がある。工学院大学の大橋秀雄氏が2008年に「工学教育」誌に発表した論文「技術者が見えない」だ。少し古い調査だが、状況が良くなったとは思えない。

あなたは、技術者、またはエンジニアと聞くとだれを思い浮かべるだろうか。

パッと思い浮かんだ人はいるだろうか。心の中で考えてみてほしい。

この質問を、中学生・高校生約1,200名に投げかけてみた結果がこちら。

中高生に聞いた知ってる技術者ランキング。1位エジソン、2位ライト兄弟、3位本田宗一郎、4位アインシュタイン、5位学校の先生

  • 1位 エジソン
  • 2位 ライト兄弟
  • 3位 本田宗一郎
  • 4位 アインシュタイン
  • 5位 学校の先生

こういう結果になったという。どう思うだろうか。まず、技術者とは何なのか、それが極めて曖昧である。名前が挙がっている技術者と言われる人たちは、そもそも技術者ですらない。エジソンもアインシュタインもその側面はあるにせよ、学者である。それこそ技術者と言えるのは本田宗一郎くらいだ。さらに由々しき問題として、存命の人がほぼいない、ということがある。現役の技術者、技術の仕事がそもそも若者に見えていない。5位の学校の先生というのは、技術者と聞いて、頭に思い浮かぶのが身近な技術の先生しかいなかったということ。まあ学校の先生は生きてはいるが、技術者としてはまたちょっと違う。

若者が進路を決める時に重要になるのがロールモデルだが、技術の世界にはそれがない。現役の技術者は、若者にとっては透明人間、全く見えていない。「この人に憧れて、この道を選んだ」そういう人は結構いる、例えば、宇宙飛行士の○○さんに憧れて、宇宙の分野に進みましたとか。そして、それはフィクションでもいい、宇宙兄弟に影響を受けて宇宙分野の仕事を志した、なんて話も結構聞く。しかし、工学分野においてロールモデルになる人がほとんどいないのだ、作品もキャラクターも・・・・。このままでは、日本のものづくりの未来は無色透明・・・一体どうすれば・・・

・・・・?

・・・・・・・!?

いるじゃないか、君だ、宮永翔!!

本書の表紙に描かれた主人公・宮永翔が、やる気に満ちた表情で振り返るイラスト

この顔、やる気である。君が、機械設計界のロールモデルになるのだ!!

ということで、iCAD株式会社さんの次の仕事は、本作のアニメ化 or ドラマ化だ。よろしくお願いします。あと、もしドラマ化するならヒロインは志田未来ちゃんにしてほしい、好きなので。

『機械設計ってこんなにおもしろい』がドラマ化されたら、というイメージのポスター風画像

期待している。

まとめ

本記事の内容を復習しよう。

  • 「機械設計ってこんなにおもしろい」は、日刊工業新聞社から2026年4月に発売された、iCAD株式会社監修の"テクニカル小説"
  • 新人設計者・宮永翔の失敗と成長の物語。著者は製鉄プラント設計出身の現役機械設計者で、失敗の解像度が異常に高い
  • 吊り穴ひとつにも存在理由と現場の背景がある。読めば設計経験者は「俺じゃん」となる
  • 機械設計の面白さは一筋縄ではいかないこと。アカデミックとエンジニアリングの隔たりを「気づき」で埋めていく仕事である
  • CAD操作や作図はAIに代替されても、ものづくり全体の流れを設計する「機械設計」は人間の「気づき」の仕事として残る
  • 若者にとって現役の技術者は透明人間。宮永翔は機械設計界のロールモデルになれる存在

これから設計の仕事に就く人、設計1年目で毎日現場に詰められている人、そして「機械設計ってAIでなくなるんでしょ?」と思っている人、機械設計ってなんだろうと思っている人。この本は、その全員に刺さる。特に若手設計者は、宮永翔と一緒に失敗して、一緒に気づいてほしい。そして数年後、自分の失敗談を後輩に語れる設計者になろう。あなたこそ小説の主人公なのだ。

iCAD株式会社 公式サイト

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