2026年7月15日、NVIDIA主催のイベント「Build-a-Claw - Tokyo」へ参加してきました。
本イベントの主役は、指示へ答えるだけではなく、自らツールを使って仕事を進める"AIエージェント"。会場では、ロボットアーム、実写から作る3D環境、製造作業の動画解析などが、自然言語を起点に動いていました。
しかも途中で、超大物ゲストがサプライズ登場!!
NVIDIAとAIエージェント、その先にあるロボットは、どうつながるのでしょうか。本記事では、NVIDIAをほとんど知らない方にも分かるよう、イベントの狙いから展示内容まで順番に紹介します。
では、さっそくいきましょう!!
NVIDIA「Build-a-Claw - Tokyo」とは?
デモ、テックトーク、交流会が一体になったイベント
「Build-a-Claw - Tokyo」は、2026年7月15日に白金台・八芳園のSTUDIO KOKUで開かれたNVIDIA主催イベントです。韓国、台湾に続く日本初開催として案内され、14時から18時までライブデモ、テックトーク、フードとドリンクを囲む交流会が行われました。

このイベントの主役は自律的に仕事を進める"AIエージェント"。チャットのAIが"相談相手"ならば、AIエージェントは"実際に手を動かす担当者"へ近づいた存在です。
会場にはロボット操作、実写からの3D環境構築、AIモデルの学習管理、製造動画の解析などNVIDIAの錚々たるソフト群がずらり。そしてそのソフトを、人間が操作する・・・のではなくAIエージェントを通して操作する、そういったデモが多く並んでいました。
からあげ先生の紹介でインフルエンサー枠へ
参加のきっかけを作ってくれたのは、AI系ブロガーのからあげ先生(@karaage0703)です。普段から仲良くさせていただいており、NVIDIA側へ紹介してもらったことで本イベントへ招待をいただきました。ありがたやありがたやー。からあげ先生は、ブログ「karaage.」やSNS、ポッドキャストで、AIやものづくりを発信されています。
会場へ着くと、目の前には由緒ある日本庭園。その先ではAIエージェント、GPU、ロボティクス・・・一気に最先端です。庭園と未来の機械。そのアンバランスさに期待が高まりますな。

"Claw"はどうやって専門ソフトを動かす?
Build-a-Claw は、その名の通り、ClawをBuildしようぜというイベントです。Clawが何を指すかといえば、ハサミではなくOpenClawというAIエージェントです。OpenClawはパソコンやサーバー上で常時動かしておける、オープンソースのパーソナルAIエージェントです。2025年11月に「Clawdbot」という名前で公開され、2026年1月にMoltbotを経て、現在のOpenClawへと改名されました。もともとは個人開発の週末プロジェクトでしたが、メールの整理や予定の管理、ブラウザ操作、ファイル編集などを実際にこなせることから、急速に注目を集めました。

OpenClaw自体は、ChatGPTやClaudeのような「頭脳となるAIモデル」ではありません。あくまでも脳みそはClaudeやGPTなどのAIモデル。OpenClawはパソコン上のリソースと脳みそをつなぐ「体全体」のようなソフトウェアです。自分のパソコンやサーバー上に常駐し、そこで働き続けます。DiscordやSlackなどのコミュニケーションツールから指示を出すことも可能です。また、会話や作業内容を継続的に記憶し、決められた時刻に仕事を始めたり、複数の作業を並行して進めたりできる点も、一般的なチャットAIとの大きな違いです。本当にパソコンの中に住んでいる「小人」って感じの仕組みです。

そしてそんなOpenClawに様々なSkill(手順書)を渡し、NVIDIAの様々な専門ソフトウェアを操作させる仕組みを構築していく、というのがこのイベントの主題です。まさに、Build-a-Claw !!
ここまでのまとめをすると、Build-a-Clawは、AIが人の言葉を専門ソフトの操作へつなぐ姿を見せるイベントです。では、その姿を展示ごとに見ていきましょう!!
自然言語がロボットと"現実のコピー"を動かす
DGX Spark上で常時動かせるOpenClaw

基本的にほとんどのデモがDGX Spark内で完結して動いていました。DGX Sparkとは、NVIDIAが開発する小型スーパーコンピューターです。データセンター級のGPUサーバーを借りずに、手元のデスクトップ環境で大規模AIモデルを扱えることを目的としています。ほとんどの展示は、このDGX Spark内でローカルLLM(Qwen3.6系)を動かしていて、それでOpenClawを動かし常駐させ、さらにDGX Spark内で起動したNVIDIAのソフトを操作するという構成でした。
つまりすべての出来事は、ネットワークの外に出ていくことなく、このスタイリッシュなDGX Spark内で完結してしまっているということですね。こんな小さい筐体の中がまさにAIエージェントの脳みそだということです。
一番刺さった!! OpenClaw × Isaac Sim

NVIDIAのIsaac Simは、ロボットと環境を取り込むシミュレーターです。物理・衝突・センサーを再現する"物理法則付きの練習場"ですね。このデモのシミュレーション画面にはロボットアームと色付きキューブが設定されています。通常は人間がプログラムで指示してシミュレーション上のロボットを動かすのですが、このデモではOpenClawへ目的を伝えると、座標を取得して操作順を組み立てていきました。「青いキューブを運べ」と指示をすると、具体的な指示をせずとも自律的に邪魔になっていた赤いキューブを先に退避し、最後に青キューブを目標位置まで運びました。
当然、完璧ではなくおちゃめなミスもするようで、把持力の設定をミスし、キューブを場外へ飛ばしてしまうことも。リカバリーを指示しても、アームが届かないから無理ですと、回答したそうです。失敗するってのも、愛らしい・・・。単なる仕組みを超えた人間の相棒感がありますね。
シミュレーションとはいえ、自然言語を入口にここまで操作できるなら、現実世界でも"言葉で機械を動かす工場"はそう遠くない未来かもしれない、と感じざるを得ない。一方で、今回のデモで動かしたのはあくまでもシミュレーション上の仮想アームです。実機の安全制御を検証したデモではありません。担当者も、専門家が結果を確認・修正する開発が現実的だと説明していました。現時点では、シミュレーション上で試行錯誤を行うハードルが下がった、くらいの認識が良いかもしれません。
NuRecで実写の道路を3D環境へ

続いては、NVIDIA Omniverse NuRecです。カメラやLiDARの記録から3D環境を再構築し、別の視点から描画する技術群です。LiDARは、レーザーで周囲までの距離を測るセンサーですね。道路の実写データから視点を変え、車を消したり、別の車や歩行者へ置き換えたりしていました。主には自動運転用のデータセットを作るために使われるツールですね。
現実世界の情報だけでは、珍しい状況を集めるのは大変です。このツールによって一つの道路から学習・検証データを増やせます。ただし、当然のことながらこのツールを使うのも、「このツールを使うための勉強」が必要です。そこで、出ましたOpenClaw!!
OpenClawに依頼すれば、「猫視点の動画を作って」「キリン視点の動画を作って」などといった、ざっくりしたインプットでも、NuRecを巧みに操作し、その内容にそったデータを生成してくれます。動画から邪魔な車を消したり、違う種類のクルマに置き換える処理もお手の物。デモを担当していた方もNuRecはほとんど触ったことがないんだとか。それでも、説明できてしまう、というのがAIエージェントのすごいところ。今後は、ツールを使える人ではなく、実現したいこと・試したいことがある人たちが活躍する時代が来るんだろうなと感じますね。
ジェンスン・フアン、来たーーー!!
ビッグゲストの登場
突然、ざわつきだす会場。何やらビッグゲストが来るということで、デモエリアにイベント参加者が集められました。そこでサプライズで登場したのがなんと・・・

NVIDIA創業者兼CEOのJensen Huang氏でした。本当に目の前にいるッ・・・!!
日本はかなり暑かったですが、それでももちろんトレードマークの革ジャンです。握手はかないませんでしたが、手に触れることはできましたね。本当は革ジャンを引きちぎって持って帰りたいくらいでしたが、国際問題に発展しそうなので止めました(笑)
PCから"パーソナルAI"へ

Jensen氏はPC革命になぞらえ、一人ひとりが"パーソナルAI"を持つ時代を語りました。そして示したのが、NVIDIA DGX Sparkです。DGX SparkはGPUカードではなく、128GBの大容量メモリを備えた小型AIコンピューターです。モデルやエージェントを手元で動かせます。名前の原点は2016年のDGX-1。初号機をOpenAIへ寄贈した経緯やイーロンマスクとの思い出も紹介されました。
そしてこのイベントではJensen氏のサイン入りDGX Sparkが2台、抽選で贈られました。なんという大盤振る舞い、残念ながら私は当たりませんでしたが、これ当たった人は家宝にしていいレベルでしょう。
まとめ
本記事の内容を復習しましょう。
- Build-a-Claw - Tokyoは、AIエージェント「OpenClaw」でNVIDIAの専門ソフトを動かすNVIDIA主催イベント
- ほとんどのデモは小型AIコンピューター「DGX Spark」の中だけで完結(ローカルLLM+OpenClaw常駐)
- Isaac Simのデモでは「青いキューブを運べ」の一言で、ロボットアームが自律的に段取りを組んで動作
- NuRecは実写からの3D環境再構築。ざっくりした言葉の指示でデータ生成まで可能に
- サプライズでJensen Huang CEOが登場。"パーソナルAI"の時代とDGX Sparkを語った
最も未来を感じたのはIsaac Simです。自然言語を入口にシミュレーションを設定・操作する技術は、"言葉で機械を動かす"入口でしょう。現実へ持ち出すには、安全設計と人間の確認が欠かせません。だからこそ、専門家を消すAIではなく、専門家の試行錯誤を加速するAIとして捉えることが重要です。
紹介してくれたからあげ先生と、招待いただいたNVIDIA側の皆さまに改めて感謝します。言葉で機械を動かす未来は、シミュレーションの中から始まっています。これを読んでいるあなたも、ぜひその変化を追いかけてみてください。

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