誰でもわかる”軸受”の基礎の基礎

誰でもわかる軸受の基礎 "誰でもわかる"シリーズ

我々の生活で最も身近な機械要素部品・・・それが ”軸受(じくうけ)”です。ベアリングという呼び方の方が馴染み深いかもしませんね。目に見えるところには使われていませんが、日常生活の至る所に使われています。軸受なしで生活をすることは不可能だと言っても過言ではありません。

軸受なんて言葉、初めて聞いた・・・
名前は知っているけど、実物を見たことない


そんなあなたも大丈夫!!この記事では、軸受の基礎について誰にでもわかるように紹介していきます。機械の知識がなくても理解できますよ。それでは早速いきましょう!!

軸受ってなんなの?

軸受(じくうけ)とは、読んで字の如く軸を受ける部品のことです。辞書の定義では、回転軸を支える装置のことを指します。回転軸を支えるってどういうこと?と思うかもしれませんが、数年前に流行ったハンドスピナーをイメージするとわかりやすいですね。

真ん中を指で持って、外側を弾くと勢いよく回りだし、しばらく回転を続けますね。これはハンドスピナーの中央に軸受が入っていて、滑らかに回り続けれるような仕組みになっているんです。このように回転するものを支えてあげている部品が軸受なのです。世の中の回転しているものには大体、軸受が使われています。

軸受の役割ってなんなの?

軸受の基本的な役割は、支える回転体を

(1) なるべく少ないエネルギーで回転させる。
(2) 大きな荷重を支えながら回転させる。
(3) 高速で回転させる。
(4) 長時間、継続して回転させ続ける。

ことです。身近なものを例にとって説明します。普段、何気なく乗っている自転車のタイヤにも軸受が使われています。この軸受がしっかりと仕事をしているので

(1) ペダルを漕げば自転車がスムーズに進み
(2) 体重が軽い人でも重い人でも同じように走ることができ
(3) スピードを出しても安定して走れ
(4) 壊れることなく長距離の移動もできる

のです。

私たちの身の回りには、回転するものが溢れています。例に挙げた自転車のタイヤをはじめ、自動車、扇風機、換気扇、掃除機、洗濯機、etc・・。軸受がしっかりと役割を果たしているからこそ、私たちはこれらの機械を使うことができているわけです。

軸受の種類

軸受の種類は、どのように軸の回転を支えているかで分かれています。大きく分けると“すべり軸受”“転がり軸受”の2つに分類できます。その名の通り、すべらせて回転させるか、玉やローラを転がせて回転させるかの違いです。ざっくりとしたイメージは下記の絵でつかめると思います。

このように、すべり軸受は油などですべらせて滑らかに動かすイメージで、転がり軸受は玉の上をゴロゴロ転がせて滑らかに動かします。(こういう滑り台ありますよね。)

一般的には、転がり軸受が採用されている機械が多く、すべり軸受はなかなか稀です。私が設計してきた機械でもすべり軸受を採用した機械はありません。

余談ですが、エジプトのピラミッドを建設する際、昔の人は丸太を敷いてその上を転がすように材料となる石を運んだようです。これが軸受の起源とされており、壁画にもしっかり当時の様子を表す絵が残っているらしいです。地面を引きずって運ぶことを思ったら、そちらのほうがだいぶ楽に運べそうですよね。

すべり軸受の種類と特徴

代表的なすべり軸受を紹介していきます。

油潤滑軸受

油でヌルヌル滑って回転を支える軸受です。軸と軸受の間に油の膜ができて摩擦を軽減させることができます。主に車や船舶のエンジンなどに使われています。ちなみに油潤滑軸受けの中でも、どのように油を送り込むかで二種類あります。

静圧軸受・・・ポンプなどで油を強制的に送り込んで潤滑させる
動圧軸受・・・回転の勢いで周りの油を巻き込んで潤滑する

ポンプなどがなくても潤滑できる”動圧軸受”の方が装置も大規模にならずに良いですが、高回転・高負荷になってくると油の膜が作れなくなるため、強制的に油を流し込む”静圧軸受”も必要になってきます。

気体軸受

気体で軸を浮かせて回転を支える軸受です。ガスベアリングなどとも呼ばれます。原理は油潤滑軸受と一緒ですが、軸と軸受の間に”気体”が入ります。ゲームセンタにあるエアホッケみたいなイメージですね。気体の力で回転物を浮かせて、回転を支えるため大きな力を受けるのは苦手です。ただし、油潤滑軸受よりも更に摩擦が低いので超高速回転が可能です。精密機械や遠心分離機などに使用されます。また、油が垂れるのを嫌う食品製造用の機械や医療機器などにも使われます。

油潤滑軸受と同様に、気体軸受けにも静圧軸受と動圧軸受があります。

磁気軸受

磁力を利用して軸を浮かせて回転を支える軸受けです。男心をくすぐるロマンがありますね。磁気で浮かせるため、摩耗がありません。特殊な環境(真空、超低温など)でも使用することができますが装置が大きいのと、高コストなのでまだあまり実用されていないようです。

などなど・・・他にも種類はありますが、ざっくり紹介するとこんな感じです。

転がり軸受の種類と特徴

転がり軸受はすべり軸受よりも一般的に普及しています。普及している理由としては規格化されているというのが大きいです。簡単に言うと、「代表的な軸受はこういうサイズ・仕様にしましょう」というルールが決まっているのでどのメーカのものを使っても互換性があります。壊れてしまっても代わりのものがすぐ手に入るので便利です。基本的に”軸受”といえば、この転がり軸受のことを指す場合が多いですね。

比較的小さいものならホームセンターとかでも売っているます。ちなみに、私は軸受関連の記事を書くためにアマゾンで一つ購入しました。値段はサイズや種類によりピンキリですが、小さいものならそんなに高くはありませんよ。

そんな転がり軸受にも様々な種類がありますが、基本的な構成はだいたい同じです。

転がり軸受は一般的に外輪(がいりん)、転動体(てんどうたい)、保持器(ほじき)、内転(ないりん)の4つに分けることができます。ピラミッドの例であげた丸太の役割を果たすのが転動体という部品です。転がり軸受の名の通り、実際に転がっている部分ですね。基本的には転動体の形の違いで軸受の種類が分かれています。

玉軸受

転動体がボール(玉)形状のものを総じて玉軸受と呼びます。非常に用途が広く、色々な箇所に使われます。”軸受、ベアリング”と聞けば、この形を連想する人も多いでしょう。玉軸受けは基本的に軸方向、径方向の力も両方とも受けることができます。

コロ軸受

転動体が円柱形状になっているものをコロ軸受と呼びます。玉に比べて、円柱の方が力を受ける面積が広くなるためより大きな荷重を支えることができます。ただし、力を受けれる方向は径方向のみの場合が多いです(種類にもよります)。転動体を円柱形状だと紹介しましたが、円錐であったり、たる形状であったり、バリエーションは豊富です。

まとめ

本記事の内容を復習をしましょう。

・軸受とは回転を支える機械要素
・軸受の種類には “すべり”と”転がり”のがある
・すべり軸受には、油、気体、磁気の3種類がある。
・転がり軸受には、玉、コロの2種類がある。

すこし意識して周りを見てみると、”アレ”にも”コレ”にも軸受が使われていることがわかります。目立たないけど、大切な“縁の下の力持ち”です。ベアリングが無ければ、世界は回らないと言っても過言ではありませんよ!!

本記事では、本当に基本的な部分をざっくり抜粋して紹介しましたが、軸受は数ある機械要素のなかでもかなり奥深い分野です。学問でいうと、”トライボロジー”という分野で、摩擦や潤滑などを取り扱う科学技術として取り扱っています。もし興味があれば、もう少し深く軸受の世界を勉強してみてはいかがでしょうか。

軸受の種類をもっと詳しく知りたい方は、是非下記の記事も合わせて読んでみてくださいね。

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